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□#1 〜4日目〜
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『死』
それに対する考えは人それぞれ。

さぁ、尋ねようじゃないか。
君の考えを。

適当な答えは、赦さないよ?


#1-4日目


「笑美さん、笑美さん!」
「こら、ゆき。まだ早い時間だろ?笑美を起こすなよ」
「だって・・・遅刻してしまいますよ?春陽ちゃん」
「それはゆきが方向音痴だからだろ!」

――誰・・・?

まだ意識は霞の中。
ぼんやりと聞こえる会話に、徐々に笑美は意識を覚醒させてゆく。

「ゆき・・・さん?」

寝起きの掠れた声で、起こした人物の名を呼べば、隣に居た春陽がゆきを睨んでいる。

「ほら、あんまりゆきが煩いから、笑美が起きちゃっただろ?」
「う・・・」

時刻はAm.5:00

学校に比較的近いこの家で起きるには、少々早すぎる時間。

「おはよう、笑美さん。起こしてすみません・・・」
「おはよう、ゆきさん。今・・・何時?」
「5時です」

起き上がりながら、挨拶を交わし、笑美は思う。
ゆきはこんな時間に起きて学校に7時50分に着くのか・・・と。

方向音痴、恐るべし。である。

「悪いね、ゆきが起こしちゃって。朝ご飯、食べるかい?」
「いえ・・・私、朝は食べられないんです・・・入らなくて」

苦笑いして、首を横に振る。

「あら。ダメですよ!朝ごはんは一日の・・・」
「あー、ゆき、お前の食に対する薀蓄を聞いてたら時間がどれだけ合っても足りないからその辺にしときなよ?」

自分は食べる必要がないのにもかかわらず、『食』について語りだそうとするゆきを春陽は制止する。
そんな様子に、笑美はぼんやりと思う。

――いい・・・なぁ・・・

自分の家では、こんな風に朝から会話を交わすことなんてない。

「ほら、もう6時回ってるよ!ささっと準備して学校行って来な!」
「はい。笑美さん、一緒に行きましょ?」
「・・・うん!」

手を打って準備を促す春陽に頷いて、ゆきは笑美に手を差し出す。
笑美は、笑顔でその手をとった。



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