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□#1 〜7日目〜
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これは我々のエゴ。

君に拒否権はない。

結局の所、我々も試験官としては失格なのだろう。
公平にモノを見極めているわけではないのだから。

#1 〜7日目〜


薄暗い部屋。

ゆきと春陽は向かい合って話していた。

「曾羅 笑美について、一週間接してみてわかった事を言ってくれ」
「えぇ、先ず、クラスメイト全員の虐めの理由なのですが、学校長のお孫さんが笑美さんに告白をしたみたいなんです。
それを断られてから、クラスを巻き込んで度の過ぎた虐めへと発展したようです」

笑美さん、中学に入ったばかりの頃は、良く笑う明るい子だったらしいので。
そう付け加えたゆきの言葉に春陽は呆れたような顔をする。

「・・・ガキだな。思いっきり逆恨みじゃないか」
「えぇ。先生方も学校長の血族と言うことで、見てみぬ振り・・・尚且つ自分も加わって、虐めはやむことはありません」

人間と云うものはそういうものですけど。と呟きながら、その顔は不服そうだ。

「エスカレートする一方か・・・味方は?」
「零ですね。加わらない子は居ますが、止めようとする人は一人もいません」
「フム・・・今度はぼくが調べた事だね。家でも居場所はないみたいだ。母親は全く笑美に関心を持たず、父親は不在。虐められている事すら、知らないだろうなぁ、あの様子じゃ」

「家に居るのも辛いから、朝早く学校に来るんでしょうか・・・?」

寂しそうに俯いて、そう言ったゆきに『そうかもね』と相槌を返して、顔を上げる。

「で?どうするんだい?生か死。どちらを選ぶ?」
「それは・・・」

春陽の問いに口を開いた、その時。

パッ

と、部屋が明るくなる。

驚いた二人が部屋の隅にある電気のスイッチの方を見やれば、そこに居たのは。

「「四季(さん)?!」」

「なんでわざわざ部屋を薄暗くしてるんです?目に悪いですよ」

ニコリと笑った四季の言葉に、

「そっちの方が雰囲気でるだろ?」

事も無げに言ってみせる春陽の目は明らかに楽しんでいる。

「なるほど・・・雰囲気も大切ですからね。それで?ターゲットへの決定は?」

その言葉に、春陽の目はスッと、真面目な物に戻って。
それから、ゆきと顔を見合わせて、一度頷いて。

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