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□#1 〜3日目〜
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時刻は6時。
笑美は近くのコンビニに買い物に来ていた。
「買い忘れはない・・・よね」
全て買い終わったことを確認して、笑美は家に戻ろうと踵を返した。
ドンッ
「キャッ!」
「おっと・・・ごめんよ、大丈夫かい?」
柔らかい声が聞こえて、背中を支えられる。
「は・・・はい」
ぶつかった際に散らばったと思っていた袋の中身も、相手はしっかり掴んでくれたらしく、無事だった。
「ごめんね、娘が帰ってこないから、また迷子になっているのかと思って探していたんだ」
そういって顔を覗き込んできた女性は、笑美を見て首をかしげる。
「間違っていたらごめんね?もしかして・・・曾羅笑美さんかい?」
「え・・・?」
何故この人は自分の名前を知っているのか。笑美は不思議そうな顔をするが、先ほどの女性の言葉に、もしかして・・・と口を開く。
「あの・・・もしかして、ゆきさんの・・・」
「あぁ、ゆきの母親だよ」
「や・・・やっとつきました・・・」
6時30分。ゆきはようやく自宅に辿り着く。
「ただいま、はるひちゃん・・・」
鍵を開けて家に上がれば、はるひしか居ないはずの部屋の中から話し声がする。
「そうか・・・キミはそれを辛いと思わないのかい?」
「もう・・・慣れちゃったし」
「・・・笑美さん?」
声でそう判断すると、ゆきはドアを開ける。
「あ、お帰り。ゆき」
「お帰りなさい、ゆきさん」
「ただいま・・・お母さん、笑美さん。何・・・話してたの?」
鞄を置きながら尋ねるが、はるひは悪戯っぽく笑うと『ナイショ♪』と答えた。
「そうだ笑美ちゃん。もし良かったら今夜家に泊まっていったらどうだい?」
「あ、それ良いですね!もし都合が良ければ是非どうですか?」
期待に輝いた目を二人から向けられ、笑美は戸惑いがちに・・・でも、嬉しそうに頷いた。
「それじゃぁ、お願いします」
End.
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