□4
1ページ/1ページ





にこやかに声をかけたキールと、『あら。』と、キールの名を呼んだアイス。
その二人の反応に、シャルドは思う。

『もしかして・・・騙された?』

と。

キールとアイスが知り合いと言うことは、二人が戦う事はない・・・はず。と、言う事は、自分の持っている核が目当てでキールは私を騙したのだろうか・・・

そんな考えが廻る中、二人はなおも会話を続ける。

「久しぶりだね、アイス譲。」
「本当に。また性懲りもなく・・・レイドに戦いを申し込みに?」
「まさか。」

ニッコリと笑いながらの会話ではあるが、その空気は不穏だ。
どうやら、この二人が出会うことがあるのは、この屋敷のお抱えハンター、レイドにキールが戦いを申し込む事が多々ある為らしい。

またかと冷めた笑みでキールを見やるアイスに、キールは否定する。
そして、楽しそうに言葉を続ける。

「今日は・・・アイス譲。君をこの世から消す為に来たんだよ♪」

その言葉に驚いたアイス。
その一瞬の隙を突いてキールは動く。

幸いにもレイドは留守。邪魔をするものは居ない。

シュッ――

「っ!ウ・・・グゥ・・・」

ドシャッ
一瞬で、アイスは地に伏した。

ビュンッ

武器を一振りして、付着した血を払い落とす。それを元の場所に戻して、

「何やってんの?シャルド。」

漸く一人でもやもや考え込んでいたシャルドに気付いた。

「キール・・・あの・・・」
「ん?終わったよ?核、皆持ってこうよ。」

『私のこと・・・騙してた?』と聞こうと思ったシャルドはキールの言葉に目を瞬く。
そっとキールの後ろを覗き込めば、そこには血を流して倒れこむアイスの姿。

『キャッ』と小さく悲鳴を零して、シャルドはフルフルと首を振る。
そして、

パリーンッ

核石の飾られたショウケースを素手で叩き割ると、持っていた袋に一つ一つ丁寧に仕舞いこんだ。

「それじゃぁ・・・行こうか?」
「うん。」

来た時と同じように二人は屋敷を抜け出した。




「これからどうするんだ?」

キールは走りながら尋ねる。
シャルドは屋敷の核石を見た時から考えていたことを口にする。

「取り敢えず、家に帰ろうと思う・・・。それから・・・この人達のお墓を・・・作るわ。」

『この人たち』といいながら、袋の中の核石を撫ぜる。
そんなシャルドに、キールは言った。

「そっか・・・じゃぁさ、僕もそれ、手伝うよ!」
「えっ?」

そんなキールにシャルドは一瞬驚いた風に目を見開き・・・そして、

「うん・・・お願い・・・しようかな。」

ふわり。恐らく出会ってから初めての年相応の笑顔を見せてキールの申し出に甘えた。

「任せといて!」

それから、数年後。

「おはよう、皆。」

核石を埋めた場所からは小さな緑が芽吹き、シャルドの家を囲んでいた。
そんな緑たちに笑顔で水を与えるシャルド。

シャララ・・・

家に最も近い場所に埋められた核石より芽吹いた緑たちは、そんなシャルドを喜ぶように、風に揺れていた。

End.



□後書□
やっと終了!
この一番最後の下り・・・つまり『核石から緑が芽吹く』と言う終わりが書きたくて無理やりこじつけました(笑)

つまりこのお話は、最初と最後以外みんなテキトウ。と言うこと。(苦笑)

それでは、少しでもお楽しみいただければ幸いです♪

06.09・28


戻る
























































[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ