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□病院へおいでよ!
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ここは国立高井名病院。
国立と言うだけあって、ここにはすべての部門の医院がそろっています。
勿論、名医ばかり。
そんな高井名病院に、一人の看護師が居ます(病院なのですから当然ですね。)
彼女の名前は『春日 由愛』小児科担当の看護師です。
「ゆめてんて〜vv」
「は〜い。何かなぁ?ゆうき君。」
子供達にも人気物。
仕事もテキパキこなすし、とっても素敵な人です。
しかし、そんな彼女にも、裏の顔と言うものは・・・ある物なのです。
【病院へおいでよ!】
子供達も寝静まる夜。
非常灯の淡い緑の光だけが廊下を照らす中で。
ガガガガッ ゴガギギギッ
なにやら怪しげな音がする。
何かを・・・砕くような。
音を辿ってゆくと、小児科病棟にある個人研究室に辿り着く。
部屋の持ち主は・・・『春日由愛』
この病院は、申請さえすれば看護師であろうと研究室を持つ事ができる。
向上心のある者を育てる為であるのだが・・・春日はこの研究室で、『研究』と言う名の『趣味』に毎晩明け暮れていた。
その趣味とは、一体・・・?
コンコンッ
まだ闇の深い時間、春日の研究室のドアを叩く者。
カチャッ
ドアを開ければ、そこに居たのは、同じ小児科の研修医、柊だった。
「春日看護士。」
「あら、柊先生。丁度良いところにv」
ニッコリと笑顔で柊の背中を押して奥へと連れて行く。
「あ・・・あの、院長が・・・」
「分かってます♪」
戸惑う柊の言葉も遮り、肩を押さえ椅子に座らせると、
ガシャンッ
体を固定した。
「え・・・?!春日さ・・・」
「は〜い、大人しくしててくださいね〜v大丈夫ですよ、すぐすみますからね〜♪」
ルンルンで台の上に広げてゆく道具は、ドリル。(断じて歯科医の物ではない)そして、医療器具一式。
笑顔でそれを手に取り、そして・・・
ガガガガッ ゴガギギギッ ・・・コキャッ
先程と同じ、不穏な音。
その音が止んだころには。
「終わりましたよ、柊先生。」
「・・・なんだか気分がすっきりしているなぁ・・・ありがとう、春日さん。」
「いいえ♪」
先程までのオドオドした様子もない柊の姿。その顔は、晴れやかだ。
お分かりだろうか?春日の趣味が。
そう、春日の趣味、それは―人体改造。
人体のみに関わらず、医療器具も、時計も、何でも。改造するのが大好きなのだ、この、春日由愛と言う看護師は。
行き過ぎたように感じるこの趣味。
しかしその腕は中々のもので・・・
人体に影響が出ることはこれまで一度もない。
勿論、人体以外のものも・・・今までより高性能だったり使いやすくなったりして帰ってくる。
それは、院長以外気付くこともないのだが。
「さて・・・」
柊を見送って、春日は部屋を出る。
向かうは、院長室。
コンコンッ
「院長。春日です。」
「入りなさい。」
許可を得て、院長室へ入る。
そして、用件を問うよりも先に春日は頭を下げた。
「院長。実験台の提供、ありがとうございました。」
その言葉に院長は笑う。
「イヤイヤ、此方こそ礼を言うよ。これで柊君も仕事の能率が上がるだろうからね。」
院長は知っているのだ、春日の趣味を。
そして、その実験の利益を得ている側の人間である。
実は、柊は腕は良いが少々作業能率が悪く、もたつく事が多々あったのだ。
恐らく、春日の改造でそこは克服されているだろう。
初めから、それが目的で彼は春日を呼びに行かされたのだから。
院長は椅子から立ち上がると春日の前へ歩み寄る。
「これからもよろしく頼むよ。」
「はいv」
二人は、硬く手を握り合った。
昼は優しくて人気者。
夜はちょっと危険なマッドサイエンティスト。
そんなに面性を持つ春日由愛。
そんな彼女が勤める高井名病院に―あなたも、訪れてみては?
――あぁ、一つだけ忠告を。
自分の体が可愛いなら、夜の春日には近付きませんよう。
あなたも、実験台にされてしまうかもしれませんから・・・
End.
□後書□
おかしなテンションで書き進めたかったんです。
マッドサイエンティスト=少なくとも常軌を逸したところのある科学者。
科学者ではありませんが・・・良いですよね?
ちなみに子供が春日を『先生』と読んでいるのは態とです。
『ゆめさん』じゃ違和感、『看護婦さん』は春日を指しているのが伝わりにくいと思ったので却下。『由愛看護婦さん』も、ゴロが悪いので却下。と、言うわけで、『先生』なのです。
改造・・・もっといろんな機会使ってる漢字に書きたかったなぁ・・・
では、少しでも楽しんでいただけたなら幸いです♪
06.10・05
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