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□リースの趣味とその被害者
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「う・・・うわぁぁぁああ!!!」
小さな世界に、響く悲鳴。
一体何事?
「またリースがジャックを追いかけてるだわさね。」
スィーと箒を跨ぎ細い三日月が照らす闇の中を走っていたラミルは、眼下に見えるリースの館から聞こえるジャックの悲鳴に、溜め息をついた。
片手で箒をつかんで、下に降りてゆく。
「リース、その辺でやめて置いたら?ジャックが本気で泣きそうだわさ。」
窓から顔を出して、リースに声をかける。
リースは足音も立てずにラミルによると、『だって・・・』と口を開く。
「だって、ジャックの瞳ってキラキラしてて綺麗なんですもの。」
「ラミル〜〜〜っっ!」
ホゥ・・・と溜め息を付くリースに、ジャックは半泣き状態でラミルに助けてくれと縋る。
ラミルは大きく息を吐いて、厄介な趣味だ。と、ごちる。
リースの趣味。
それは、眼球集め。
「とにかく、やめるだわさ。ハロウィーンに人間界に降りれなくなるよ?」
「それは・・・困るわねぇ・・・」
仕方ない。と、リースはジャックから離れた。
「サンキュー!助かったぜ、ラミル☆」
「どういたしましてだわさ。これに懲りてリースにだけは悪戯しないようにするだわね。」
「・・・おう。」
ジャックは真面目にコクリと頷いて、リースの館から出て行った。
それを見届けてから、ラミルはもう一度箒を握る。
「それじゃぁ、ジャックを苛めるのも程々にするだわさ。」
「わかってますわ。」
軽く挨拶をして、ラミルは窓から再び夜空へ飛んだ。
此処は夜の世界。
悪魔たちが暮らす、小さな世界。
End.
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