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□黒の死神
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風が吹きぬける。
下からはきっと何も見えないであろう。
ビルの屋上にある、一つの影。
「さて、私は一体誰を狩れば良いんだ?」
人込みを見下ろしながらそう呟いた女性は、少々困ったように頬に手を当てた。
死神には、大きく分けて2種類ある。
指令を受け、ターゲットと接触、寿命を見極める死神―通称『白』
単独で行動し、誰彼構わず命を狩る、殺戮を好む死神―通称『黒』
そして、『白』は『黒』を止める為、駆り出される―
ピンポンパンポン♪
放送を開始する合図が響き、声がする。
『δ(デルタ)‐2006。α-0001がお呼びです。すぐに受付まで来なさい』
α-0001―四季の呼び出したδ-2006。これは緊急集合の合図だ。この世界に、δから始まる死神は居ない。
仕事中でない限り、全ての死神が10回ほどに分けて受付へと向かう。
「紅葉(くれは)、行くぞ」
「何でだよ夏芽(なつめ)呼ばれてないだろ?」
新人の紅葉を、指導役の夏芽が引っ張って行く。
どうして行かねばならぬのかと首をかしげる紅葉に、思わず夏芽は怒鳴りつける。
「・・・お前は死神就任の際の説明を聞いてなかったのか?!」
「あ」
どうやら思い当たる節があったらしく、紅葉は小さく声を上げると大人しく夏芽の後を付いて行った。
「それではよろしくお願いします。くれぐれも、気をつけて」
『『了解!』』
四季の言葉に、死神たちは頷き、人の世へと向う。
四季自身も、真っ白な外套をはおり、人の世へと向かった。
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