×

□きらきらえりー☆
1ページ/2ページ

人物設定はコチラ



闇を走るは罪人。
逃げろや逃げろ・・・

そうでなくちゃ・・・ゲームは楽しくない。











いーち


にぃーい


さぁーん


闇を照らす唯一の光は、厚い雲に覆われて。

真っ暗な路地裏に、あどけなさの残る間延びした声が響く。

ハァッハァッハッ・・・

息を切らして、辺りを見回し、脅えたように走る一人の男。
何にそんなに脅えているのか。


はぁーち


きゅーう


「来るな!来るな来るな来るなぁあぁあ!!」

狂ったように叫ぶ男。
そして、

――じゅう。

カウントを終えた声は、一言声をかける。

「もう、良いよね?」

有無は言わせない、強い声。
そして、


タタタタッ


小さな、小さな足音が、路地裏に響いた。





荒い息を隠そうともせず、震える身を押さえようともせず、ただ、男は隠れていた。
そして、待っていた。

『時間』が来るのを。


チチチチチチチチチチチチチチチチチチチ・・・・・・・・・


少しづつ、確実に時間は流れてゆく。
他人にとってはたった1分。
されど、男にとっては永遠とも思える長い時間。

あと一分乗り越えれば・・・

男は、フッと、ほんの僅かに、気を緩めた。



そのときだ。



「みぃ〜つけた♪」


頭上で、声がした。

「?!」

反射的に振り返り、男は銃を構える。
標準が定まっているかどうかなんて、気にする暇はない。
男は、銃を乱射した。

鋭い発砲音があたりに響く。

しかし、その弾はひとつとして相手に中る事はなかった。

「惜しかったよね〜あとちょっとだったのに、さ」

スッと、雲の間から、漸く一筋の光を射した月は、まるでスポットライトのように、相手を照らし出す。

ビルにしては低い屋上に腰をかけた、大きな縫いぐるみを抱えた少女。
それが、彼の相手。


「なっ?!こんな・・・こんな子供に!」


こんな子供に自分は今まで脅えていたのかと、男は笑い出す。
そして、彼女に向かって銃口を向けた。

「まさかあの『きら』がこんな子供だったとはな!」

男には、余裕の笑みすら浮かんでいる。
外見で判断してしまったのだろう。こんな子供に自分は殺せまいと。
こんな子供に、自分が負けるはずはないと。

グッ

引き金を引く指に力が入る。
あと少し、強く引けば・・・

チャキッ

突如、男の背中に当たる硬いもの。
冷たく光るそれは・・・拳銃。

「銃を降ろして」

短く、低く発せられた言葉に、男は従う。
ぎこちなく顔を動かして後ろに居る人物を見ようと試みたが、それは出来なかった。
なぜなら、その人物がさらに強く拳銃を押し当ててきた為である。


「残念でした♪暗殺請負人『きら』は一人じゃないのよ♪」
「私たちは二人で一つ。同じ名を持ちし者なり」

屋上で明るく少女が言えば、それに続くように男の後ろの人物も呟いた。

「さぁ〜って、お仕事始めようか、エリーv」

そう呟いた少女は、トンッと屋上から飛び降りる。
そして、怪我をする事もなく、綺麗に着地すると、手に持っていた縫いぐるみを男へとけしかけた。

「う・・・うわぁあああ!」

迫ってくる巨大縫いぐるみに押しつぶされ、男は悲鳴を上げる。
いつの間にか、後ろに居た人物は男から離れていた。

「仕上げだ」

銃を構えたその人物は、ニィと口の端を持ち上げる。
そして、

パァ・・・ンッ

乾いた発砲音が響いたその後は・・・男はもう二度と動く事はなかった。

「任務完了。帰ろうか、雪華(きら)」

拳銃を元のホルダーに戻して、彼女は少女―雪華―に声をかける。
その声に雪華は頷いて彼女の元へと駆け寄り、そして。

「あ――――っ!キラ!!またエリーの上からターゲット撃ってるぅ〜〜〜!」

自分の縫いぐるみ―エリー―を通して発砲したことに不満の声を上げた。

『全く、痛いでねぇか!もうちっと人形を敬う心ってのを持ってけろ!』

雪華に抱きかかえられたエリーも。

「エリー・・・お前痛覚ないだろ、一々騒ぐな」

雪華の言葉にはあえて触れず、キラはエリーに冷たい目線を向ける。

殺人をやってのけた後とは思えない、のほほんとした空気。
これは、彼女達の日常。

彼女達の元には、ほぼ毎日、殺して欲しい人間の依頼が届く。

暗殺請負人。

それが、彼女達の仕事。
彼女はそれらを確実にこなしてゆく。
時に楽しみながら、時に、一瞬で。

血生臭い仕事の中、楽しみでも見出さなきゃ・・・やっていけないでしょう?

彼女達は『きら』

同じ名を持ちし者達なり。




End.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ