09/26の日記

23:22
少女マンガのような展開を…目指せなかった。(オリジ)
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わたしには、妹が一人いる。
名前は『ユイ』
字は、『唯一』のユイと同じ字を書く。

妹と言っても、誕生時間が数時間遅いからそう呼ぶだけで、実際あまり差異はない。
所謂、双子の姉妹なのだ、わたし達は。

良く似た顔をしていると他人(ひと)は言うが、中身はあまり似ていない。

妹は、人当たりが良くて良く笑う。
人見知りもしないから、知らない人ともすぐに打ち解けられる、社交的な性格だ。

私はと言えば、笑っているのに「困った様な笑顔」になっているらしい。
人見知りが激しく、初対面の人と何を話せば良いのか見当がつかない。
どちらかと言えば、内向的な性格をしていると思う。

髪質も違う。
私はくせ毛の上に猫毛で、雨が降るとくるくるになってしまうけど、妹はサラサラストレートだ。
同じ母体から同じ遺伝子情報で作られたはずなのに、どうしてこうなるのか。
きっと私のサラサラストレート遺伝子は妹の神の遺伝子に全部持って行かれたに違いない。妹のサラサラヘアーが憎い。

…勘違いしないでほしいが、私が憎いのはあくまで髪質だ。妹は可愛い。
とても可愛い。
本当に可愛い。

黒くて艶のあるサラサラストレートの髪を、両サイドだけ集めて後ろで束ねているのは清楚な印象を与えるし、髪留めに使っている鼈甲のバレッタも良く似合っている。
それに、明るくて活発な妹だが、所作は綺麗だ。家は躾が厳しいから。

だから、仕方がないと思う。

私の許婚は、妹に恋をしている。

許嫁の名前は『シロガネ』
字は『銀色』のギン、一文字だけだ。
だから私は、彼を『ぎん』と呼ぶ。

許婚と言っても、父親同士が勝手に決めたものだ。
幼馴染だったわたし達の父親は、同じような時期に結婚したらしい。
その時、祝いの宴席でこんな約束をしたそうだ。

『俺達の子供が男と女だったら、将来結婚させようじゃないか』

ありきたりな約束。

そうして生まれたのが、わたし達双子とぎんだ。
だから、ユイとぎんが許婚でもおかしくはない。
ただ、わたしが姉だからと云う理由で、許婚はわたしになった。

さらに言えば、ぎんはわたし達よりも年が下だ。
七つ違う。

だから、この婚約は破棄する事も出来た。
七つ違えば、考え方も感じ方も違う。
両家の父親も、破棄しても構わないと思っていた。

わたしはぎんが好きだったけど、ぎんは妹が好きだったから、てっきり破棄する物だと、思っていたのだけど。

ぎんが15になった日。
彼の父親が話しを切り出した。
わたしとの婚約を破棄しても構わない、と。

誰もが、その話しに彼が頷くと思っていた。
それなのに、わたし達の予想を裏切って、ぎんは言った。

「オレの意思で決めて良いのなら、婚約は破棄しない」

その言葉に父親たちは笑顔で頷いて、わたしとぎんは未だに許婚のまま。

すぐにでも祝言を挙げようとする父親たちに、わたしは約束を取り付けた。

祝言はぎんが望む時にする事。(ただし、後継ぎの事を考えて、最大でも25歳までとする)
ぎんは、何時でもわたしとの婚約を破棄できるものとする。(ただし、矢張りこれも後継ぎの問題から25歳までとする)

つまり、ぎんが25歳になったら、嫌かもしれないけど諦めて私と結婚してくださいって言う約束だ。

ぎんがわたしとの婚約を破棄しないのは、妹に会いに行く口実が無くなるからだろうし。

25歳までの制限にしたのは、勿論後継ぎの事もあるけど、それだけじゃない。


妹には、恋人がいるのだ。
それはぎんも知っているが、知っているからと言って諦められないのが恋と云う物だろう。

その妹と恋人が、近々結納する予定なのだ。
早くて来年、遅くても三年以内。

結婚してしまえば流石にぎんも諦めるしかない。
大きなショックを受けるだろうから、そこから立ち直るまでに一年か二年。
新しい恋を見つけるまでに三年。
恋人と付き合い始めて、祝言をあげる準備を整えるまでに二年。

ちょっと詰め込み過ぎの無茶な計算かもしれないけど、大体こんな感じだろうと思っている。
それまでは、わたしはぎんの許婚でいられると云う訳だ。
ある程度の虫よけにはなるだろうし。

…むしろ、新しい恋を探すのに『許婚』と云う存在は邪魔でしかないだろうから、多分ユイが結婚して暫らくしたら婚約は破棄されるだろう。

ぎんは今年で、17になる。
ユイの結納は、あと半月後に決まった。

ひょっとして、落ち着いたらわたしの事を好きになってくれるかも、何て淡い期待を抱いてはいけない。
そんな期待抱いた所で、虚しくなるだけだ。

だからわたしは、心の準備をする。

いつかぎんに婚約破棄を言い渡された時、うっかり泣いてしまわないように。
笑って送り出せるように。

◆ ◇ ◆


「…恋は盲目っつーけど、お前はまさにそれだな」

呆れた様に、わたしの話を聞いていた時さんが溜息を吐いた。
恋は盲目。
そうかもしれない。
ぎんが好きだから、たとえ彼がわたしを好きじゃなくても、許婚を続けている。

「お前が『こうに違いない』っつー色眼鏡越しにシロガネを見てるって意味だっつーの」

時さんがわたしの癖だらけの髪の毛を撫でた。

「その色眼鏡外して。シロガネをよく観察してみるこった。…まあ、誤解させる様なあいつも悪いんだろうけどな」

最後の方の言葉は小さくてうまく聞き取れなかった。
何て言ったのか聞き返してみたけど、時さんははぐらかして答えてくれない。

そう言えば、とわたしはここに来た目的を思い出す。
時さんが変な事聞くから忘れてた。

「そうそう時さん」
「あ?」
「ユイちゃんの結婚式には、時さんも参加してね?招待状出すから」

End.





ながい、そして意味不明。
ありきたりな少女漫画のようなオリキャラが作りたかった。
そして『時さん』は実はとある漫画のキャラです。
『時さん』はあだ名ですが。

その漫画のオリキャラのつもりで作った子なので(自己満足)時代設定は実はちょっと昔です。

ぎん目線も書いてみたい…かも。

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