11/01の日記
22:16
世界の交わる夜に逢いましょう @(オリジ)
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*オリジ部屋にある『悪魔たちの日常』シリーズのお話です。
24時間365日太陽の昇らない闇の街。
ここは、悪魔達の暮らす世界の、その一角。
その日、この街で『朝』と称される闇の中、街は俄かにざわめき立っていた。
「あら、珍しいですわね…?ラークが走ってますわ」
「ほ…ホントだね、どうしたの…かな?」
庭の月下美人に水を与えていたリースと、遊びに来ていたシエルが首をかしげている。
「あ、ラークさぁんvv朝からラークさんに出会えるなんて、チョコは幸せ者なのですよぉ♪…あれれ、でも、なんだか急いでるみたいですねぇ???」
苦手な箒を乗りこなすために、早朝練習をしていたチョコは、朝から想い人に出会えた事に興奮気味にはしゃいでいたが、矢張り彼が走っている、と云う事が珍しいらしく、頭に疑問符を浮かべていた。
彼を見た街の住民が、それぞれ疑問符を浮かべている事など気にもせず、ラークが慌てた様子で飛び込んだ、その先は。
「長!お見えですか?!」
この街を納める長の家であった。
『朝から忙しいのぅ?どうした、ラーク』
淡く光る水晶から響く声に、ラークは動揺を隠せないままに口を開く。
「ラ…ラミルが…」
『…うむ?』
「ラミルが、昨晩出かけたまま戻らないんです!」
『何じゃと…?』
* * *
一方その頃、人間界のとある道端。
「……茉莉祢(まりね)?」
一人の少年が道端で気を失っている少女に向かって、信じられない物を見るかのように呟いた。
暫く、茫然としたかのようにその場に立ち尽くしていた少年は、ハッと我に返ると目の前で倒れている少女を抱え上げる。
「と、とにかく、こんな所に放っておくわけにはいかないよな」
* * *
緩やかに覚醒した意識に任せて、ラミルは目を開いた。
飛び込んできた見知らぬ天井に、頭の中に疑問符が浮かぶ。
(ここ…何処だわ?)
少なくとも、自分たちの住む街ではない事だけは、確かなようだと、ラミルは思考を進める。
街の建物には、今飛び込んできているような木目の天井など、存在しない。
(…そう言えば、昨日の夜…散歩に出かけて…)
「お、起きたか?」
事を整理しようと浮かべていた思考は、唐突に響いた声で中断される。
声のした方へと顔を向ければ、そこには、自分の外見より少し年上に見える、少年の姿があった。
「いやぁ、まさか道の真ん中に人が落ちてるなんて思わなかったから吃驚したよ。」
ふふ、と笑う少年に、ラミルは口を開く。「貴方が、」
「ウチを拾ってくれたんだわさ?」
「まぁね。…君の顔が、知り合いに良く似てたから…放ってもおけなくて、さ」
「ま、知り合いって言うか…妹、なんだけどね」そう言って緩く笑んだ少年の顔には、どこか陰りが見えた。
「妹さんだわ?」
首を傾けたラミルに、少年は頷く。
「そう、茉莉祢って言うんだ。…もう、3か月ほど前に病気で死んでしまったけどね」
寂しげに瞳を伏せる少年の話を聞きながら、ラミルはふと、街へと想いを馳せた。
そう言えば、ラークはどうしてるだわさねぇ?…と。
思い返すのは、同居人の優しい笑顔。それから、街から転落する際に目の端を掠めた、見慣れない顔。
静かに考えるラミルに、何を感じたのか、少年は無理な笑顔をつくると、ラミルへと言葉を向ける。
「それより、君は?どうしてあんな所に倒れていたんだ?」
その言葉に、ラミルは一瞬考える。何処まで正直に話すべきだろうか、と。
* * *
その頃、長の家には来客が訪れていた。
「ス…スミマセンスミマセン!ラド様ガ一時ゴ帰宅サレテ居リマシテ…《門》ヲ開イタノデスガ、鍵ヲ掛ケルノヲ忘レテイタノデアリマス…」
淡く光る水晶玉の前で、ラークとディアンに向けて平謝りを続けているのは門番のゲーパー。
体が骨だけで成り立っている彼は、頭を下げるたびにカシャカシャと骨がすれる音を立てている。
「ゲーパー…貴方って言う人は…!ドジなのも大概にしてくださいと何時も何時も…・!!!門番がそんな事でどうするんですか?!」
「スミマセンスミマセン…・ッッ」
珍しく声を荒げるラークに、ゲーパーは何度も頭を下げた。
「謝ったらいいってもんじゃないもん!ラミルが長の許可も取らずに勝手に人間界(下)に降りる事なんてありえないもんっ絶対まちがって落っこちちゃったに違いないよ…ラミル…魔力も制限されて、知らない所で独りぼっちなんて…泣いてたらどうしよう…」
くゅうと、涙目になりながら声を上げるディアンに、長はゆっくりと声を掛ける。
『…うむ、確かに魔力が制限されていては此方に帰ってくることは難しかろう…ディアン、探しに行ってあげなさい』
「っ長、それなら私が…!」
『落ち着くんじゃ、ラーク。お主は少々目立ち過ぎる。それに、ディアンはラミルの使い魔じゃ。ラミルを探すのには、適任じゃろうて』
『任せたぞ?』そう告げられて、ディアンはまっすぐに水晶玉を見つめて頷いて見せた。
「うん!ぼく絶対、ラミルを見つけるよ!」
本来の姿に素早く身を変えて、ディアンは《門》を飛び出して行った。
「くゅ〜〜〜〜っ!(まっててねラミルっ!)」
続く…?
いつだったか、イベントに持っていこうと思って考えていたネタが出てきたのでリハビリも兼ねてリサイクル。
没になったネタなので、どこまで書きすすめられるかわかりませんがとりあえず書いてみた。
多分ありていな感じの話の流れになるんじゃないかなあ…と。
ちゃんと書き切れたら多分移動します(笑)
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