sh'novel


□Present
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昨夜…。
つまり、聖なる夜の前日、クリスマスイヴの夜の事だ。
其の日は朝から晴天で、俗に云う…かどうかは知らないけれど、きっと君なら、

「絶好のクリスマス日和だね!」

…と、満面の笑みで言うだろう空模様。
君は僕と会う日、何かに付けて"絶好の〜日和"と言っていた。
先ず会ってすぐ…開口一番に其のフレーズを言い、別れ際にも其れを繰り返す。
其れでも言い足りないのか、別れた後に必ず送られてくるメールの冒頭、件名にさえも其のお決まりのフレーズが綴られていると云う始末。
此れを他人に言おうものなら、もしかしたらしつこいとでも評されるかもしれない。
けれど、僕は…。
僕には、其れが愛おしかった。
二人で過ごす時間の始め…君がそう言えば、徒かも其の為に有る一日だと本気で信じたし、二人で過ごす時間の終わり…君がそう締め括れば、其の日は最高の一日だったと心の底から思った。
メールは余り好きではないけれど、君と出掛けた日だけは別で、眠る前には必ず受信を確認した。
そして其れは、一度たりとも欠かされる事無く届いていた。
欠かされた事が無かったから、実際にそうなるかどうかは断言出来ないけれど、もしも届いていないなんて事が有れば…
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