序章
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「お母さんっ!



 ……お母さぁん!!」





 10歳の少女の目の前に横たわるのは、紛れもない、その子の実母だった。

 元々色白だった肌は更に白さを増し……人の温もりを失っている。

 木々の葉が擦れる渇いた音が異様に大きく響いたのは、

 その家の中で少女の他に音を立てる"生きた存在"がいなくなったせいか、

 幼い胸にポッカリと空いた喪失感のせいか……





 まるで止まってしまったような時の中で、少女は延々と泣き続けた。





 あの声が聞こえるまで……




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