□第四話
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恋仲のふりをする約束なんてしたものの……
そもそも男性経験のない雛菊には、何をどうしたらいいのかなんて分かるはずもなかった。
あれから数日、自分なりに色々と考えてはみたものの……
結局辿り着いた答えは、"出来るだけ一緒にいる時間を増やす"の様な、ありきたりで大雑把なものばかり。
彼の為に、より恋仲らしく見える演出をしてあげたいのに……
どうも気持ちが先走っては空回り、なかなか上手くはいってくれないのだった。
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第四話
好きという気持ち
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その日も雛菊は、道場の前を掃きながら平助との接し方について頭を悩ませていた。
通り過ぎる恋仲らしき男女を目で追っては、その様子を観察し、手掛かりを得ようと試みる。
しかし、人前であるという慎みの中では、"それらしい振る舞い"というものが実に曖昧になってしまっていて……
一体何が"恋人らしさ"なのか、結局分からず終いなのだった。