第伍話
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 さて、総司の件ですっかり振り回されてしまった翌朝――

 朝食の席に一同が揃うと、近藤が咳払いを一つして口を開いた。


「みんな、食事の前にちょっと聞いてくれ。

 大事な知らせがあるんだ」


 妙に改まった空気に、一同は何事かと顔を見合わせる。

 すると、ややあって……近藤がこう言い放ったのだった。





「実はなぁ、養子を……取るかもしれん」


「……ハァ!?」





 あまりに突拍子な報告に、一同はただ驚いて身を乗り出すことしか出来ない。

 娘が生まれたばかりだというのに、一体何故そんなことを……?

 皆が首を傾げる中、何を思いついたのか物凄い形相で立ち上がったのが左之助だった。


「何言ってんだ近藤さん!

 諦めんのはまだ早ェぜ!!」


「は……はぁ?

 何を言いだすんだ、左之助っ?」


「アンタまだ29だろ!

 作ろうと思えばまだいくらだって……!」


 最初は意味を掴めず、ただ勢いに押されていた近藤も……

 そこまで聞けば、何となく彼の言わんとするところが理解出来たらしい。


「……すまないが左之助、それは恐らく誤解だ……」


 苦笑する近藤に目を丸くした左之助が、


「んぁ?

 何だよ、男の子が欲しかったんじゃねぇのかぁ」


 と漏らすと、近藤は深々とため息をついたのだった。


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