□第伍話
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さて、総司の件ですっかり振り回されてしまった翌朝――
朝食の席に一同が揃うと、近藤が咳払いを一つして口を開いた。
「みんな、食事の前にちょっと聞いてくれ。
大事な知らせがあるんだ」
妙に改まった空気に、一同は何事かと顔を見合わせる。
すると、ややあって……近藤がこう言い放ったのだった。
「実はなぁ、養子を……取るかもしれん」
「……ハァ!?」
あまりに突拍子な報告に、一同はただ驚いて身を乗り出すことしか出来ない。
娘が生まれたばかりだというのに、一体何故そんなことを……?
皆が首を傾げる中、何を思いついたのか物凄い形相で立ち上がったのが左之助だった。
「何言ってんだ近藤さん!
諦めんのはまだ早ェぜ!!」
「は……はぁ?
何を言いだすんだ、左之助っ?」
「アンタまだ29だろ!
作ろうと思えばまだいくらだって……!」
最初は意味を掴めず、ただ勢いに押されていた近藤も……
そこまで聞けば、何となく彼の言わんとするところが理解出来たらしい。
「……すまないが左之助、それは恐らく誤解だ……」
苦笑する近藤に目を丸くした左之助が、
「んぁ?
何だよ、男の子が欲しかったんじゃねぇのかぁ」
と漏らすと、近藤は深々とため息をついたのだった。