第六話
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 いつも通りの道を通って、いつも通りの店を回って、いつも通りに買い物を済ませる……

 そんな いつも通りの作業も、隣に平助がいるというだけで妙に緊張してしまう。

 彼と過ごすことには慣れたものの、こうして街に繰り出せば、すれ違う娘達の視線が妙に気になってしまうのだ。



 年頃の娘の注目を集めるのに、平助の外見は十分すぎる。

 振り向いてまで目で追う者もいれば、連れの者と何やらコソコソとはしゃいでいる者までいたりして……

 傍らを歩く者――しかも一応は異性――としては、それがなんとも居心地が悪いのだ。

 しかし、雛菊だって彼女達の気持ちが分からないわけではない。



 まだ見知らぬ彼と偶然街で擦れ違ったら、彼女だって この端正な顔立ちに思わず胸をときめかせ、目で追っただろう。

 そして、傍らに奈津なんかがいたりしたら、"素敵な人だね"なんて耳打ちしたに違いない……



 だからきっと、この現象は平助の隣を歩く限りはついて回るのだろうと、雛菊は諦めにも似た溜息をそっと漏らした。






 第六話
 似ている二人




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