第七話
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「おっはよ、ヒナ!

 今日は何の日?」


 その日の朝も、平助は笑っていた。

 ただ、いつもと違うのは……

 雛菊が起こしにきた時には既に彼が起床していて、綺麗に畳まれた布団が片付けられていたこと。

 そして、ついでと言わんばかりに他の寝坊組を叩き起こしてくれていたことだろうか。


「……何だよ平助ェ〜」


「悪いな、左之。

 俺、今日大事な予定があっから遅れらんねぇんだ」


 ある意味張り切って見える彼の姿に、締め付けられる胸。

 しかし雛菊は、そんな気持ちは悟られないように、


「いよいよ本番だね」


 と笑った。



 今日は、平助と恋仲だと偽って彼の恩師に会う日。

 そして、それが済んだら……

 二人が嘘でも恋仲ではなくなる日だ。





「そっ!

 終わったら、おしるこが待ってるぞ」


 満面の笑みでわしゃわしゃと頭を撫でられながら、雛菊は思う。


――もうこれ以上、時間が進まなければいいのに……


 けれどその気持ちとは裏腹に、雛菊は再び笑顔を作った。


「ふふ、楽しみにしてます」





 終わってしまう関係を嘆くより、終わるまでを精一杯楽しもう。



 この関係が終わったからといって、会えなくなるわけではないのだ。



 この胸の中にある気持ちは、これからもきっと伝える機会がたくさんあるはず。



 二人はこれからもずっと、一つ屋根の下で生活していくのだから……






 第七話
 ドタバタ恋人劇




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