御話伍
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「――……小春?」


 銀の声で、頭が冴え始めた。

 小春が小さく唸って瞼を持ち上げると、美しい銀髪が朝日を反射して更に幻想的に輝いている。


「起きたか?

 そろそろ支度せんと、朝飯間に合わんで?」


「え、もうそんな時間……?」


 彼の美麗な顔立ちに思わず見惚れていた所で告げられた、衝撃の事実。

 どうやら二度寝をした結果、寝過ぎてしまったらしい……

 慌てて飛び起きると、小春は庭先にある専用の水場まで顔を洗いにバタバタと走っていった。



 小春が水場から帰ってくると、銀は桃色の着物をそっと手渡しながら訊ねる。


「お前……何かあったか?」


 その言葉に、"嫁いだばかりで両親を待たせてはいけない"と必死になっていた小春が動きを止めた。


「な、何急に……っ?」


「イヤ、何って訳でもないんやけど……

 お前、今日僕にひっついて寝てたやろ」


 言いながら、彼は耳の後ろをポリポリと掻いているが……照れ臭いのは寧ろこっちの方だ。

 小春は彼の目を見れぬまま、勇気を出してあの夢の話を切り出そうとしていた。


「うん、あのね……」


 いざ打ち明けようとすると、妙に緊張が沸き起こる。

 しかし、小春は精一杯それを堪えて口を開いた……






御話伍
秘められた真実





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