御話九
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 慌ただしい日々の中で季節は巡り、夏の終わりが見え始める。

 その日、小春は願叶所の仕事が休みのため、書類が散らばった銀の執務室の片付けに出向いていた。

 銀の話し相手になりながら、書類を分けたり、不要なものをしまったり……

 そして最後に、執務をこなす銀の傍らにある卓上カレンダーを手に取ると、数日前に終わったはずの八月の文字に苦笑した。


――もう、ズボラなんだから……


 小春の指が一枚それを捲って、正しい月を導き出す。

 改めて目にした九月の文字に、小春は身の引き締まる思いと……

 何か、大切な事を忘れているような……奇妙な感覚を覚えていた。






御話九
キツネの学校








「何やぁ、もう九月か。早いなぁ……

 人間界はもう夏休みも終わりやし、観光客も落ち着くやろうから、願叶所の方も一段落やで?」


 小春の手の中のカレンダーを覗き込んで、銀は穏やかに微笑む。

 しかし、その言葉が小春の胸に引っ掛かっていた違和感の正体を掘り起こすきっかけとなったのだった……


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