□第七話
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待ち合わせ場所となった茶店に着くと、雛菊はいよいよ緊張で落ち着かなくなってきた。
それなりに混み合う店内の賑やかさに耳を傾けても、和むどころか余計に胸がぞわつくばかりで……
並んで席に着いた平助を見上げて、思わず不安の声が漏れてしまう。
「ねぇ本当に大丈夫なの?」
「大丈夫って何が?」
「……私達、ちゃんと恋仲に見えるかなぁ?」
心細そうに訴える雛菊に、平助は溜息混じりの笑みを浮かべる。
「ま〜だ気にしてんのかよ」
こつん、と彼の指先が雛菊の額を軽く小突いた。
その表情はとても清々しい笑顔で飾られている。
「俺達は、毎日一緒に買い物に出かけたり、時には涙を見せたりなんかもしたろ?
"見えるかなぁ?"じゃなくて見せんの。
今の俺達なら、きっと出来るって」
「う、うん……
でもさ、今日会う人は平助さんがずっと慕ってきた偉い先生なんでしょ?
私、難しいこととかよく分からないし、平助さんがいつもみんなと話してる尊皇がどうとかって話もいまいち分かってないよ?」
「……はぁ?」