93
□Cold−ver9
1ページ/2ページ
「猿が風邪?」
「ええ、そうなんです。熱と鼻水が凄くて…」
「この寒い時でも腹出して寝てたんじゃね?」
「それは分かりませんが…延泊しても構いませんよね」
「風邪じゃ仕方ねェだろ」
今朝出発する予定だったので八戒が起こしに行くと、いつもなら目覚めの良い悟空が布団を被り丸まっていた。
訝しんだ八戒は悟空の頬を触ると、明らかに発熱している。
「大丈夫ですか、悟空」
「はっかい〜目が廻る」
いつもより赤い顔で鼻を啜りながら八戒を見上げて、悟空は不安そうに呟いた。
「恐らく風邪でしょうから大人しく寝てて下さいね。今、薬を持って来ますから…ご飯は食べられますか?」
「腹は減ってる」
「食欲があれば大丈夫ですよ。少し待ってて下さいね」
八戒は部屋を出て、三蔵の所へと向かった。
「そんな訳で悟浄と薬を買って来ますから、三蔵は悟空の看病をお願いします」
「何で俺が…」
嫌そうに答える三蔵に、仲間内しか分からない威圧的な笑みで八戒は選択肢を増やす。
「では代わりに三蔵が買行きますか?解熱の座薬」
「…………看病でいい」
諦めた三蔵は被害の少なそうな留守番を取り、二人を追い払った。
「三ちゃん、イイコでお留守番しててね〜」
「うるせぇ!」