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□Cold−ver8
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「うーす」
「おはようございます」
「…お前、声ヘンじゃねえ?」
悟浄が問い掛けると、返事をしようと思った八戒は咳込み会話が途切れる。
「すみません、風邪引いちゃって…」
「この寒ィ中で野宿だからな、無理すンなよ」
「ええ。今日は街に着く筈なので、そこで休ませて貰いますね」
「取り敢えずソレ代われ、お前はそっちに座ってろ」
八戒の持っていたおたまを取り上げ、悟浄は調理の続きを引き受けた。
「すみません…」
「お前にはいつもやって貰ってばっかだかンな。風邪引いてる時位はやんねーと」
適当に調味料を入れている悟浄に若干の不安を覚えながらも、進んで仕事を代わってくれる優しさに心が暖まる。
「ありがとうございます、悟浄」
「いいって。それより三蔵と悟空は?」
「ああ、二人なら…」
スパーン!!
「痛えな!叩く事ないじゃん!」
「テメェがくだらねえ事言ってるからだろ」
川から水を汲んで来た悟空と、手ぶらで煙草を吸っている三蔵が何やら言い合いをしているが、恐らくいつものじゃれあいだろう。
「あいつらは朝っぱらから元気だねえ」
「今の僕には羨ましいですよ」
「あれ?悟浄が飯作ってんの?」
小走りで戻って来た悟空が、味見をしている悟浄を見て不思議そうな顔をする。
「僕が風邪引いたんで代わってくれたんですよ」
ゴホゴホと咳をしながらも八戒が答えると、悟空は汲んで来た水をコップに注ぎ八戒に渡した。
「それなら俺がやるのに」
「バーカ、てめえは料理出来ねェだろーが」
「悟浄よりマシだろ!」
水を飲んでる八戒を挟んで悟空と悟浄がいがみ合っていると、二人の頭上に紙の武器が炸裂する。
「どうでもいいからとっとと作れ。さっさと出発してえンだよ」
「へーへー、どうぞ召し上がれ」
悟浄は半ば投げやりに食事を振る舞った。