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□絆
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悟空はふと空を見上げた。
雲がなく青空が広がっている中に際立つ存在が一つ。
容赦なくその存在を見せ付け、人々の全身を焦がすように照り付けている。
今、何してんだろ…。
太陽を見る度に思い出す――大切な人を。
今は離れ離れになってしまったが、必ずまた会えるから。
俺は元気だから。
生きてるから。
だから、無事で居て。
三蔵…と心の中で呼び掛ける。
何度も、何度も。
三蔵には俺の声が聞こえるらしい。
実際に声に出して呼んでる訳でもないのに、三蔵はうるせえって怒る。
『お前は煩くて敵わん』
そう怒っている筈なのに、どこと無く嬉しそうに感じる。
余計怒られるから言った事はないが。
多分、俺の『声』は嫌ではないのだ。
あんな山まで迎えに来てくれたんだもんな。
再び強い光を放つ太陽を見上げ、呼び掛ける。
待ってて、三蔵。