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□sweet devil
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「見事に付けられましたね」
三蔵の首筋にある朱い痕を見て、八戒は苦笑を漏らす。
先程、悟浄にちょっかいを出されて付けられてしまったようだ。
眉間に皺を寄せながら、三蔵は煎れて貰った珈琲を一口飲む。
「手ェ出すなっつったのに…あの馬鹿」
「それは貴方に隙があるんじゃないんですか」
こんな風に、といつの間にか顎に手をかけ八戒が間近に顔を寄せる。
吐息がかかる位唇が寄せられても三蔵は動じず、嫌そうに紫暗を細めた。
「俺の所為か?」
「うーん、半分は」
「半分?」
するりと手を滑らせ、朱い痕の上を指でなぞる。
「半分は貴方が色っぽいから」
「……後の半分は?」
「男の堪え性の無さ、ですかねぇ」
「それは…」
ちらりと見上げて三蔵はタチの悪い笑みを浮かべる。
「お前も含まれるのか?」
「僕も男ですから…もしかして誘ってくれてます?」
「だとしたら?」
不敵な光を放つ紫玉に八戒は苦笑し、チュッと軽い口付けを落とした。
「喜んでお受けしますけど…先程は嫌がってたじゃないですか」
「気が変わったんだよ」
八戒の襟元を引き寄せ、噛み付くようにキスを仕掛ける。
「痕、付け直させてやる」
三蔵は妖艶に微笑んだ。