□bad habit-番外編
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「はい、三ちゃん。あーん」

ぱくっ。

「美味い?」

もぐもぐもぐもぐ…。

ごくん。

「悪くはねえが…どらやき?」

「そ。どらやき、三ちゃん好きでしょ?」

「……まぁな」

三蔵は訝しそうに悟浄の手にあるどらやきを見詰めた。

頼んでもいないのに好物を買って来るなんて、絶対何かあるに決まってる。

眉間に皺を寄せて天敵の如く睨み付けているが、相手は何の変哲もない単なるどらやきだ。

大体を察した悟浄は苦笑しながら三蔵の口許にどらやきを差し出した。

「さっき煙草買いに行った時に美味そうな店見付けたから土産だって。ンな事したら猫型ロボットに怒られるぜ?」

「あんなモンに怒られたら何だってんだ」

「ポケットからお仕置き道具とか出して来るんじゃね?」

「出ねーよ」

まぁいいか、と目の前のどらやきを食べようと口を開けた所で、ひょいっと遠ざけられた。

「……今度は何だ」

「折角買って来たんだから、感謝の気持ちが欲しいなー」

「俺がンな事言うと思うか?」

早く寄越せ、とばかりに口を開けて待ってる三蔵にどらやきをちらつかせる。

「じゃあ…『ごじょ、いっぱいちょうだい』って言えたらな」

ニヤニヤと笑う悟浄に三蔵は簡単にブチ切れ、胸倉を掴み上げる。

「殺されてえのかよ」

「別に、女の子三ちゃんじゃ怖くねーけど?」

「……………」

ちらっと自分の身体を見下ろすと、確かに変わってしまっていた――性別が。

あんこで女になる、なんて事をすっかり忘れていた。

「いいじゃん、女の子なら可愛くおねだりしてくれたって――ほら」

ニヤリと笑ってどらやきを差し出す悟浄に、大きな溜息をついて掴んでいた胸倉をそのまま引き寄せた。

ちゅっ。

軽く唇を合わせ、真っ赤な瞳を覗き込む。

「悟浄…いっぱいくれ…」

「三蔵っ」

がばっ。

悟浄は一回り小柄になった身体を抱き締め、そのままベッドに押し倒した。

「悟浄ッ!」

「そんな可愛い三ちゃん堪んねえわ」

「ごじょ……やッ」

「嫌じゃねーだろ?頑張って子作りしような」

「ふざけんな……あっ」



◇◇◇◇◇



「さっきから何やってんの?あの二人」

「今日は5月18日なので三蔵に言わせたい言葉があるみたいですよ」

「18日?――イヤ?」

「それもさっき言ってましたね。正解は『いっぱい』だそうです…色々使い道があるんじゃないですか」

テーブルの上の大量のどらやきを食べながら、悟空はふーんと気のない返事をしているが、どちらかと言うと明日の方が良かったんじゃ…と思う八戒だった。


End
2011.5.18

そんな訳で『悟浄いっぱい』の日でした(笑)
でも途中で『ごじょ…イヤ』があったぁ!と気付き、それも追加(笑)
明日は19日なので……ねえ?




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