リクエスト
□特別
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10000Hit《93/裏》
いつからだろう――
この金色を愛しいと思うようになったのは。
縋れるものはこの人しか居なかったけど。
それでも親のように、兄のように、慕っていた筈なのに。
いつしか違う感情が紛れ込んでいる事に気付いた。
それは正体不明でずっと心の奥底で燻り続け、存在に気付いた時からじわじわと表面に滲み出て来た。
染みのように段々と広がるその存在を突き止めようと試みた。
金色にも相談を持ち掛けたが、いざ面と向かうとより広がるばかりで――結局そのまま放置するしかなかった。
ずっと広がり続けたら、この心はその存在で埋め尽くされるのだろうか。
その時、俺は。
どうなるのだろう……。
◇◇◇◇◇
「なあ、三蔵…」
「あ?」
いつもの不機嫌顔でベッドに座って新聞を読む三蔵は、ちらりと視線を向けながら一応返事をしてくれた。
あまりされる事のない下からの視線に、俺の心臓が大きく跳びはねた。
―――まただ。
最近三蔵と目が合うと必ずと言っていい程に心臓が騒ぎ出す。
身体中がざわつき、落ち着かなくなるなんて。
これってもしかして…?
「な、何でもない…」
「拾い食いでもしたか?」
「食ってねーよ」
「……ふん」
再び新聞に視線を落とす姿を見て、気付かれないように安堵の溜息を零した。
ずっと見詰めていたいのに…触れたいのに。
紫暗を向けられる度に身体が強張る。
緊張?不安?
昔から知ってる三蔵なのに、何で……。
今日こそ確かめたい。
この感情が、
愛情なのか――