♀
□bad habit-pregnancy
1ページ/3ページ
「たまには優雅にお茶するのもイイですねえ」
「……何処が優雅なんだ」
「煩えのは猿だけだろうが」
「――あとね!チョコパフェとパンケーキと…あんみつ!」
「この節操ナシがっ!」
スパーンッ!と紙の音が店内に響き渡った。
◇◇◇◇◇
「悟空、食べるのは結構ですが…パフェとあんみつは合わないんじゃないですか?」
「腹に入っちゃえば同じだって!」
「……まあ、そうですが」
「あんみつは半分俺も食う」
「うわっ出たよ、あんこ大魔神が」
「煩え、クソ河童!」
「はいはい、その辺で」
いつも通りの応酬をしていると、やがて注文していた品がテーブルに並んだ。
食事の時より品数は少ないが……。
「どう見てもお茶の内容じゃねえだろ」
「だって甘いモン食うと、しょっぱいモンも欲しくなるだろ?」
「だったらサイドメニューでいいじゃねえか…何でパスタやオムライスがあるんだよ」
「パスタなんておやつだろ」
「……そんなのお前だけだ」
「いいからさっさと食え」
カチリ、と何処からか安全装置の音が聞こえ、悟空と悟浄は口を噤んだ。
三蔵はフンと鼻を鳴らし、手付かずのあんみつを食べ始める。
「あ、三蔵。俺の分も残しといてな」
「分かってる」
「お前ら…親子で半分こするんじゃねえよ」
「うっせーな。河童にはやらねーから安心しろよ」
「要らねえよっ!」
「…あ、このケーキ美味しいですねえ」
会話になっているのか不明な遣り取りを続けながら、テーブルの上を片付けていく。
―――粗方は悟空の腹の中だが。
「あー食った食った」
「猿はそんだけ食えば満足だろ」
「猿じゃねーしッ!」
「はいはい、静かにしないとまた三蔵がキレますよ……あ、三蔵。カードを…」
貸して下さい、と続く筈の八戒の台詞が、不自然に止まった。
何事かと悟空と悟浄が見た先には、一回り小さくなった三蔵が怪訝な顔をしていた。