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□bad habit-pregnancy
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「悟空、すみませんがコレで支払いしてきてくれませんか?」
「分かった!」
金色のカードを持ち会計へと向かった悟空を見送った後、再び視線を三蔵へと戻す――が、やっぱり状況は変わってなかった。
「……久し振り過ぎて、すっかり忘れてましたね」
「まだ効果あったのかよ」
「何の話だ?」
「「胸」」
言われて下を向く三蔵も、先程の八戒と同様に固まった。
三蔵はあんこを食べると女性になる、という事を本人もすっかり忘れていた。
「……面倒臭え」
ずるりと下がる法衣の肩を引き上げるが、華奢な身体に今のサイズは合わない。
法衣の上に身につけている物を外し、片方の袖を落とすとそのまま立ち上がって歩き出した。
「あの、三蔵!」
「いやちょっと待てッ!」
「何だよ」
二人にそれぞれ腕を取られ、三蔵は不思議そうに彼らを見上げた。
相変わらず自分の状況を全く理解しようとしない三蔵に、呆れるしかなかった。
「あのね、三ちゃん。女の子がこんな胸出したら襲って下さいって言ってるようなモンだろ?」
「服着てるだろうが」
「このぴっちり具合が裸よりエロいって何で分かんねえかな」
「この服って人を選びますよね。三蔵が着てるから余計って感じもしますが」
「ほっせえ腰も堪能出来るしな」
「手甲も色気がありますよね。引き抜く時に口を使ってくれると興奮します」
「………………オイ」
「このエロいアンダーを捲り上げるのがまたイイん…」
スパーンッッ!!
「いい加減にしやがれ!」
いつも通りハリセンで悟浄だけ叩かれるも、力が弱くなった所為で痛みはあまり感じない。
「大体なあ、これは伝統的な装束で俺が……」
途切れた言葉に二人が三蔵を見遣ると、三蔵は口許を手で覆って俯いていた。
「三蔵、どうしました?」
「おい、大丈夫かよ」
二人が声をかけると三蔵はもう片方の手で払い除け、そのまま店の隅へと走って行った。
向かった先はどうやらトイレらしいが…。
「なあ、八戒。あれってさ…」
「いえ、まさかそんな筈は…」
「行って来たよ!あれ?三蔵は?」
戻って来た悟空が周りを見渡すが、飼い主様はすぐには戻らないだろう。
―――嫌な予感しかしなかった。