リクエスト

□御礼
2ページ/2ページ


「あの、三蔵サマ…?」

突然の事に反応が遅れた所為で、いつの間にか両手首を取られて下肢に体重がかけられている。

これって…襲われてないか?

ああ、襲い受もイイかも…。

「何が言いたい」

不埒な妄想に突入しかけた俺の思考は、三蔵の冷めた言葉で遮られる。

「何がって?」

「さっきから俺に不満があるんだろう?」

「いや、不満っつーか…」

山ほどあるが、今はそうではなく。

「お使いの礼くらいしてくれてもいいだろ、って思っただけだ」

「礼?」

「そ、御礼にキスの一つくら…」

言い終わる前に、柔らかい感触が口唇を覆う。

すぐに離されたそれを呆然と見詰めると、三蔵は挑発的にペろりと舐めてみせる。

「これで満足か?」

「全然足りねえけど」

「……エロ河童」

可愛げのない口とは裏腹に酷く愉しそうな光を放つ紫水晶が、俺の顔を覗き込んで来る。

「随分高ぇ代償だな」

「そうかあ?雨の中あんな遠くまで買いに行ってやったんだから、そんくらい当然だろ?」

「てめえの煙草のついでじゃねえか」

そう、元はと言えば先に俺の愛煙が切れて、ついでに俺のも買って来いと命令されただけだ……でも。

「アンタが俺のライターをパチったから、わざわざ店まで行ったんでしょーが」

「借りてるだけだろ?」

「じゃあ返して」

「嫌だ」

口端を微妙に吊り上げ、再び口唇を重ねて来た。

今度は舌を差し込まれ、たどたどしく絡めて来るソレに応えてやった。

そのまま舌先が首筋を辿り、噛み付くように強く吸われる。

あれ、分かるトコに付けんの珍しいな…。

「冷てえ」

「だから雨で外寒ィんだよ」

「冷たくて気持ちイイ…」

抑え付けられた手首を解放され、そのまま三蔵が倒れ込んで来てぎゅっと抱き着いた。

「三蔵、今日は何なの」

「礼だから俺の好きにしていいんだろ?」

「それ何か違うし…」

それに、と言いかけると同時に勢いを付けて三蔵ごと転がって反転する。

「襲われるより、襲う方が好きなんだよね」

先程の三蔵と同じように、細い手首をベッドに縫い付けニヤリと笑う。

「責任、取ってくれるんでしょ?」

既に反応している下肢を押し付けると、三蔵は妖艶に笑った。

「てめえが奉仕するならな」


End
2012.5.13

睦月様リクエスト《53》
まずは大変お待たせして申し訳ありません!(土下座)
最初は35を希望されていたので頑張って攻めて貰いましたが、結局は襲い受けしかならず…ええ、管理人は三ちゃん受けにしか出来ません(笑)申し訳ありません;
お待たせした上につまらない話で非常に恐縮ですが、少しでも喜んで頂けたら嬉しいです。
睦月様、リクエストありがとうございました!



前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ