リクエスト
□be attracted
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20000Hit企画《53/甘裏》
今更な話だけどよ。
何でコイツは―――いや別に本人の所為じゃねえよ。
好きで金髪やら紫の瞳やら女顔に生まれた訳じゃねえんだろうけど、もうちっと地味だったら良かったんだろうな。
普通に黒髪で黒い瞳だったら、こんなにも……。
「悟浄、顔が怖いですよ」
まあ貴方の顔が怖くない時なんてありませんけど、なんていつもの毒舌に乗せながら心配してるであろう親友をちらりと見遣る。
「普段の当たり前の光景じゃないですか」
「まあ、そーだけど…」
只今、とある街の繁華街を歩いている最中。
腹減り猿の餌を求めてメシ屋を散策しているのだが、通りを歩いているだけで視線が痛い。
勿論、俺の紅い髪も目立ってはいるんだが、それ以上に最高僧サマに注目が集まっている。
この国じゃ本物にお目にかかる事は滅多にねえ、光の結晶を集めたような煌めく髪に、高貴な色とされる夜明けの瞳。
加えてあのツラにあの肌と来れば……そりゃあ見るよな。
シカトなんて出来る訳ねえ、正に生きた珍獣だ。
「そこまで分かってるなら我慢出来ませんかね」
急に割り込んできた台詞に、俺は心底嫌気が差した。
「お前ね…考えてる事読むの止めろよ」
「そんな短絡思考だからいけないんですよ」
「………オイ」
「まあそれはともかく。結局彼が一番目立ってるんですから、困りましたよねえ」
全然困ってるようには聞こえない口調で、八戒はのほほんと言い放つ。
「だったら目立たなくすりゃいいだけじゃねえの」
俺は周りを睨みつけた。