さくらキャンディ

□了ツナで10のお題
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「無理にこなくてよかったんだぞ?」

よっよっと伸脚をしながら笹川了平は、ちらりと目の前で自転車にまたがっている男へと、心配そうな目を向けた。
時刻は冬の、刺すような凍気がまだまだ活躍する午前4時。
この時期、寝坊癖のある太陽は、その体の片鱗すら起こすことなく惰眠を貪り、未だ世界は闇の中に閉ざされていた。
そんな中その自転車にまたがった男は、出掛かった欠伸を噛み殺すと、眠そうな眼を一生懸命にこすった。

「気にしないでください。俺が一緒に居たかったんです」

そう言ってツナは、照れくさそうに笑った。



「どうだ?視界は悪くないか?」
「だ、だ・いじょうぶ、でっすっ!!」

心の中ではもう、いっぱいいっぱいになっているのだが、あくまでもツナは平気なんだと、アピールしつづけた。
今朝自分がここに居ることを少しだけ後悔していた。
ここに居る理由。それは話を前日に遡る。
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