小説
□Shangri-La
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「―――いいよ、オレの全部、冥にあげる」
月の光だけが照らすベッドルーム。そこに浮かび上がるのは白いシーツとその上にしどけなく横たわる白い裸体。
白い肌をほのかに染め、天国は小さく呟いた。
その言葉に、冥は穏やかに目を細めた。
―――彼は、守るべき相手と決めた人には、こんなにも柔和な笑みを浮かべることができるのだ。
不意に、褐色の逞しい指が白く細い指を包み込むように絡めとる。
「―――大切にするからな、天国」
絡めた指をそのままにしなやかな躰を抱き寄せ、口づける。
そのまま二人の躰は白いシーツに沈んだ。