小説
□sweet・poison
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カチ…カチ…
静かな部屋に響くのは、時計の秒針が規則正しく時を刻む音だけ。
いや、正確には時折不規則な間隔で紛れ込む音がある。
ぱらり…という雑誌のページをめくる音だ。
その音を立てているのは、猿野天国。
そして、彼をじっと見つめる視線がある。
その発信源はこの部屋の主・御柳芭唐。
(っくしょ〜天国のヤツ誘ってんのかよ?!え?!どうなんだよ!!)
芭唐の悶々とした感情に気付いているのかいないのか、天国はのほほんとしている。
たまの部活もない日曜日、突然現れた可愛い恋人は連絡も無しに芭唐宅に押し掛けたかと思うとまるで自分の部屋にいるかのように勝手にベッドを占領し、これまた勝手に出してきた雑誌を読みはじめたのだった。
もちろんその間、芭唐は放って置かれている。
たまにしか逢えないってのに、なんだこの仕打ちは。