宝物!!
□愛しの屍人間
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「フランケンシュタインの造り方?」
「あぁ…」
その問い掛けに、天国は驚いたような、困ったような複雑な表情を浮かべた。
次の瞬間、外から進入していた閃光が、産みの親の顔を一瞬隠す。
視界が戻ったかと思うと、今度は雷鳴が耳ついた。
「……すっげぇ雨と雷。今日は嵐だな…」
やけにのんびりとした口調で、天国が言葉を紡ぐ。
「なぁ、冥。そんなこと聞いて、どうするんだよ?」
「知りたいから聞いてんだ。とりあえず、そんな事も分からないのか?」
「お前も大層な口をきくようになったじゃねぇか…バラすぞ?」
青筋を額に浮かべて、手術用のメスを手に取ってう男の姿に、少なからず悪寒を感じ、
「すみませんでした」
と、小さな声で謝罪した。
その言葉に、天国は小さく息を吐き出して、腰掛けていた椅子に深く座り直した。
そして、亜麻色の大きな瞳で真っ直ぐオレを見つめる。
「どうしたんだよ、突然。フランケンシュタインを造るのか?」
「あぁ」
「兄弟が欲しいとか?」
「とりあえず、違う。オレが造りたいのは、フランケンシュタインの花嫁だ」
「お前の、花嫁?」
精悍な瞳が憂いを帯び、創造主は淋しそうに告げた。
笑ってるのに、泣いてるようにも見えるこの表情が、オレは嫌いだ。
これを見る度に胸がひどく痛んで、泣きたくなる。
だからその表情を見ていたくなくて、オレは産みの親からすっと視線を外した。
室内は静寂に包まれ、豪雨が窓を叩く音が響く。
天国もまたオレから視線を外し、窓越しに外を眺めながら呟くように言った。
「そういえば、お前が産まれた日も、こんな嵐の夜だったな」
その言葉に、オレが産まれたあの日の事が脳裏に浮かんだ。
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