長い小説

□うたかた〜歌のはじまる前〜
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そんな天国の周りでは、一年生のいつものメンバーが同じく思い思いに休憩をとっている。


一人一人個性的なメンバーが何故ここまで気が合うのかわからないが、いつの間にかこの六人で集まって同じ時間を過ごすのが当たり前のようになっている。


確かに、天国にとってはこのメンバーは、沢松とはまた違った形で安心できる、心地良い存在だ。

「仲間」という言葉がしっくりくるような相手というのに出会ったのは、正直初めてだった。


ストローをくわえたまま、何の気なしにそんな「仲間」を見遣る。



まず目に入ったのは、司馬の手をとりきゃらきゃらと笑っている兎丸。
またゲームの話でもしているのだろうか。

司馬は一方的な兎丸の話を嫌な顔ひとつせずニコニコと聞いてやっている。


その横で野球の話をしているのだろうか、真剣な顔で話し込んでいるのは辰羅川と子津だ。


そして、その向こう。

少し離れた、だが「同じ空間」と呼べる場所で一人、天国と同じくドリンクをすすりながらグラウンドを眺めているのは――犬飼だ。
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