釘L小説

□*寄り道
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……なんだありゃ。




ここは楽屋。



…なんだが、

ソファーで竜太朗と正がすげぇイチャイチャしてる。


「正君…ちゅーしてー?」
「えぇ〜駄目だよ竜ちゃん。」
「いいじゃん、ね〜ちゅーしてぇー」
「もうっ。甘えん坊だなぁ竜ちゃんは。」









こんのバカップルが。





そして俺の隣で少年がオドオドとしている。

佐藤ケンケンである。


「あ、あのぅ…アキラさぁん…」

うん、わかるよ。
俺だって最初の頃はどうしていいのかわかんなかったし。

「平気、平気。あんなん、しばらくしたら慣れるって。」
「いやぁ…慣れる慣れないじゃなくて…」

まぁ確かに慣れれば良いってわけじゃないけど…。
「じゃぁ、外行くか?」

外と言ってもこの階をぐるーっと一周するだけだけど。

はいっ、と元気に言うケンケンと楽屋を出る。

 
俺の隣を俺より小さな歩幅で一生懸命についてくるケンケン。

「…ヒヨコみたいだな。」
なんてボソッと呟く。

ケンケンには聞こえないくらいのつもりだったが、どうやら聞こえたらしく
「おいがですか?」
と顔を覗き込んで首を傾けるケンケン。
正直可愛い。

「うん、なんか雰囲気が。」
「おい、ヒヨコですか!」

嬉しそうな表情を浮かべるケンケン。

あれ、ヒヨコ好きだっけ?


「なんでそんな嬉しそうなのよ?」

うふふ、と笑うケンケンは
「アキラさんに言われたら全部嬉しいことなんスよ!」

と俺に笑いかけた。





…死ぬ。


若干、
バカップル(あいつら)の気持ちが分かる気がした。(同性愛とか同性愛とか同性愛とか…)



ヒヨコは俺の後を一生懸命についてくる。
 


可愛らしいケンケンに気を取られて気付かなかったが、
ふと顔を上げると目の前には楽屋があった。

なんだ、もっとゆっくり寄り道してくればよかったなんて考えていると中から声が聞こえた。

 
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