釘L小説

□*手袋
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「さむ〜…」
「最近は温かかったのにねぇー。」




仕事帰り。

昨日や一昨日まではあんなに暖かかったのが嘘のように肌寒い。

隣の正君は細さからか防寒具の少なさからか寒そうで仕方ない。



「正君、寒くないの?」
「なんで?」
「なんか寒そう…」
「うーん…寒いかも…」


ちょっと手を合わせてはぁ…っと息を吐く。
真っ白い息が空へ昇って消えていく。

正君着るもの薄すぎなんだよ。


僕はと言えば、鞄には常にマフラーと手袋が入っている。
だからこういう時はあまり困らないけど…

「正君大丈夫?」
「うん、平気だよ。」

「嘘、絶対寒い。」
「うーん…まぁ…」


ちょっと困り顔の正君。

「ほーらっ」
「わぁ!?」

正君の腕を掴んで引き寄せる。

「やっぱ正君冷たいよ。」
「えへへ、竜ちゃんあったかい。」


むぎゅーっと腕にしがみつく正君。

可愛いなあ…とか考えてると強い風が吹く。
するとさらに強くしがみつく正君。

よしよしと頭を撫でると少し震えているのがわかる。



「正君、左手貸して?」
「ほえ?」

 
 



僕の左手の手袋を正君につけてあげる。

「え、でも竜ちゃんは…」
「大丈夫、ほら」



そういって正君の右手をひっぱる。


「…っ//////」
「これで二人ともあったかいね?」



正君は下を向いて照れてるが手を離そうとはしない。




「恋人繋ぎ〜♪」
「…ば、ばかぁ…」


正君の“バカ”はむしろイエスだって知ってる。



あぁー幸せ。











ずーっとこうしてたいねぇ、正君。
いつまでも一緒だよ、竜ちゃん。

































**************

「どうする、家寄ってく?」
「え、いいの!!」
「うん、おいで?」
「わーい、竜ちゃんち行くー♪」

 

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