釘L小説

□*37℃
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「なぁーかちゃんっ」

テーブルの前であぐらでアコギをいじくってます、偉大なるメンバーナカヤマです。

ここは我が城(や、ただの俺んちだけど)。
仕事終わりに正が来てる。



「ん?どした正。」

よくわかんないが正が後ろからギューッと抱きついてきてる。
お腹に手も回ってぴったりくっつく。


少し顔を横に向けて正を見ると目をつむり背中に頬を押し付けている。


「んぅ…」
「正?」
「ナカちゃんの匂い…」

ふふふと笑う正。
あら、可愛いこと言うじゃない。




それからしばらくくっついていた正だがもぞもぞと動きだした。

ただ掴まっていた両手は愛しい物を抱くようになり、さらに密着度が増す。

「本当にどした?」
「…なんか、ぎゅうってしたくて、ナカちゃん温かいし…。」


全く動かずにそのまま言う。

「このまま寝ていい?」
「お好きにどうぞ。」
「やったぁ…。あ、ナカちゃん…?」
「ん?」


何かを言おうとする正の方を向くと目があった。



上目遣い…。

こんの金髪、可愛すぎるぞちくしょう。

「アコギ…子守歌代わりに聴いてたい…。」
 
おい、上目遣いのあんたにそんな事言われて断るヤツがどこにいる。



少なくとも俺には無理だ。




「おう。なんかリクエストは?」
「…ん、なんでも、いいよ…。」

もう本当に眠いんだろう、聞こえてくる言葉はどんどん遅くなっていく。

ってか“なんでもいい”が一番困るんだが。



「そうだ…ナカちゃん…歌って…?」
「…はい?」


まさかの歌希望。
おい、俺を竜太朗と間違えてねぇよな?

「…歌って。」


もう一度強く言われて正を見れば上目遣い。




「っはい…。」

やっぱり断れるわけがない。



「…何がいい?」
「うぅん…と…37℃とか…?」
「…俺、歌詞曖昧なんだが…。」

これのハモりは正だから俺は本当に曖昧にしか覚えてない。

多分一番すらまともに歌えない…。



「いいよ…なんとなくで…。」
 

仕方ない…っ。







…切り離すような天気雨。
だから手をつなごう。
このままでいれたらなぁ。
理由なんか無くても。
雨の糸を…

「……っ…」


あれ…。

やべぇ…わかんねぇ…。

えっと、雨の糸を…

雨、の糸…を…

糸をぉぉ!!!










「……の糸をたどったけど…」
「…!?」

見れば正は目をつむったまま微かに歌っていた。


「神様は居留守中…」


あぁ…そうだった。



誓えない2人でも水銀の祝福を――。

めちゃくちゃに振り回した手。
何、離したの?
気づかないふりしてたけど、
バレバレ。


「…ささやいて、ささやいて、」

魔法をかけてよ。

「さめないで、さめないで、」

上がった僕の微熱。






正がハモりを歌ってくれて、気持ちよかったとか考えてたら、



「……………未来ばっかり話して…」

え。
二番?





そのまま
(完全な)うろ覚えで二番まで歌わされた。
(つか正の方が歌ってた気がする…。)




正はとりあえず俺の背中ですやすやと寝息を立てて寝ている



…あんた本当に最年長か。

可愛すぎんだろ。



そして寝言を聴いた俺は唖然とした。


































































「…ん…りゅう…ちゃぁん…」



何故でしょう目から何かが…。


誰か頑張った俺を褒めて下さい。

そして俺にハンカチをください。


 
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