デュラララ!! 短編

□「イカれたアタシに」「クルったアンタ」
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血!血!血!

浴槽にたまっている血!

血!血!血!


血粧をするため、浴槽に乗り出すと、そこにいた鏡の自分は自分ではない別の女のようで


「Cut the ripper! Cut the ripper! Let’s kill! Let’s kill!」


喉が裂けてしまうのではないかと思うぐらいの声で歌う

血みどろの手で鏡に触れば、うつったアタシも真っ赤っ赤!!


血をジャムみたいにかき混ぜて、血のついた指で自分の唇をなぞる

それはとても綺麗な口紅!


はみ出したのも気にせずに、口裂け女のようになっていても、満足そうにニィっと笑う



「Cut the―――・・・・・・入ってくるなら、もうちょっと気配消して入ってきなよ・・・臨也」



気分を害されたとでもいうように、アタシが声のトーンを落とすと、悪びれもなく入ってくる臨也は肩を竦める


「それは悪かったね。Bloody Mary?今日も処刑は上々みたいだね」

『見ればわかるでしょ?』とでもいうように、アタシは得意満面


アタシの通り名である『Bloody Mary(ブラディ・メアリー)』は、300人だけしか殺さなかった女王の名から取ったもの・・・

以外と気に入っているけど、アタシはそれ以上殺していると思う

もはや、彼女以上にアタシがその名に合うのではないかと、驕って見せる

元々の服の色がわからないほど、赤い・・・いえ、今は少し酸化しているせいか、茶色っぽくなっている血色の服


そのスカートの端を持って、ヒラリと冗談交じりに軽く会釈をする

臨也は笑みを深めて、わざとらしいほどに恭しく、片手を後ろに置き片手は私に差し出し、血に染まるアタシの手の甲にキスをおとした


彼の唇もその血に染まり、笑うと普段よりも艶っぽい


「もう・・・最悪」

「どうして?」

「アンタが入ってきたから・・・」

『そっちなんだ』と臨也が苦笑気味に言う

放っておいて!

ここはもうアタシのお城!


「イカれてるよ」

「それはどうも。でもね・・・・」


臨也はアタシの手を取ったにも関わらず、浴槽に入ってくる

ため息交じりでアタシが言う


「ここでアタシを抱こうとしているアンタは、クルッてる!」


押し付けた唇はもう乾いてこびりついた血でカサカサ









アタシも血だらけ、

アンタも血だらけ


同じ血だらけなら、一緒に染まりましょ?









2011*10*30

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