東京喰種 Colos Lie
□1話:ブラックリストの登場人物
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CCG本局 喰種対策局
平たく言えば、喰種からヒトを守るための組織であると教えられた
ふわぁっと欠伸を噛み締めながらも、足だけは廊下を淡々と正確に歩いていた
CCGの制服に袖を通しているものの、私がここで働いているなんていまだに信じられない
ただ、ちょっと欠点があるとすれば・・・この制服は白いから汚れが結構目立つんだよね・・・
朝にいただいたコーヒーのシミがないか確認しながら、私は広報部へと足を運ぶ
「あ・・・ハイセさん!」
少し重い紙袋を腕に下げ、ちょうど広報部から出てきた上官のハイセさんを見つけて、小走りでかけよる
向こうもこちらに気づいたのか、笑顔で手を振てくれた
「すみません、昨日お借りした本を返しに来ました!本当は朝の顔合わせの時に渡せたら良かったんですけど、読み終わったら、すぐに返さなきゃとかあせちゃって」
「あぁ、別に平気だよ。僕も一旦部屋にもどるし。それよりどうだった?よかったら感想聞かせて」
自分のオススメの本を貸したのだから、当然なことに、ハイセさんの瞳は期待に満ち溢れてキラキラとしていた
その表情を裏切るようで非常に申し訳ないのだけれど・・・
「すみません、今回も最初の部分だけは、以前にも一回読んだことがあるみたいで、・・・あ、でも読み直してみたんですけど、最後の部分は始めて読んだ気がします。他のも読んだ事あるみたいなんですが、なんでですかね?」
なぜかハイセさんに尋ねてるように聞いてしまったけど、彼は嫌な顔一つせず、少し寂しげに微笑む
「僕もちょいちょいあるけどね」
そっか・・・ハイセさんもあるのか
もしかしたら、ハイセさんも店頭で立ち読みして、買い忘れたとかそんな感じなのかな?
最初だけ知っていた話の最後を読めて、なぜか、モヤモヤとした霧が晴れたように清々しい
せっかくだし、絶好調な気分のまま、借りていた高槻泉の著書を手渡し終えたら、調査へと出発しよう!
意気揚々と何気なく、本の入った紙袋と本のお礼へと入れたコーヒー豆をハイセさんに手渡す
けど、ハイセさんは紙袋を持った瞬間、『あれ?』っと首を傾げる
コーヒー豆についてかと思い、私も合わせて首をかしげるが、ハイセさんが紙袋の中身を確認した瞬間に、その理由がわかった
「ちょっと待って。まだ1日も経ってないのに、全部読み終わったの?」
『さては・・・』っと軽くギロリとハイセさんに睨まれて、私はさっきまでベラベラとおしゃべりしていた口をしまったと閉ざす
本を返却するペース配分を間違えてしまったのは、悔してももう遅いみたいだった
私の顔をみて、ハイセさんはそれはそれは素晴らしい笑顔で―――・・・
「また、寝てないんだね・・・?」
喰種すら裸足で逃げ出すのではないかと思う恐ろしい笑顔を向けられ、私は身震いを覚えるが、勇気を振り絞り、精一杯の笑顔を向ける
「すみません、つい本の中に入り込んでしまいまして・・・・はは、ははは・・・」
やばい・・・これは引き攣りすぎたかもしれない
頬の筋肉が痙攣しているのがわかる
怒る気力も沸かないのか、溜息をつくハイセさん
申し訳なさで、私は意気消沈した気分に落とされる
「また、“あの夢”・・・見るの?」
「・・・・・・・・」
「そっか・・・また、今夜にでも僕の部屋においで」
私よりも背の高いハイセさんは通り過ぎ際に、私の頭をポンポンと撫でて、私がさっきまで通ってきた廊下へと行ってしまった
また迷惑をかけてしまっているのかと思うと、私の胃はキリキリと嫌な音を立てる
でも、そんな暇ないか・・・
また単独として動いているウリエ君とかシラズ君を探さなきゃ・・・
なんで単独で行動するかなぁ、もう!
パンと自分の頬を叩いて、眠気を吹き飛ばすと、私は2人に連絡することにした
あの2人のことだ
厄介なことしかしないに決まってる
自分の勘を頼りに、携帯を開くところで、着信が点滅していることに気づく
「ムツキ君・・・?」
確か、喰種の唸り声の調査だったはず・・・
まさか、本当に喰種が出たんじゃ!
不安になりながら、私は恐る恐る電話にでたけど、それよりももっと最悪な事態が起こっていたらしい
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