東京喰種 Colos Lie
□3話:白骨した籠の鳥
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23区 喰種収容所 コクリア
クインケ鋼が施されているこの収容所はやっぱり好きになれない
無機質な鉄が足音だけを響かせて、無言の圧力を加えてくるのだ
こんなところに閉じ込められている“彼ら”にわずかながらではあるが同情してしまう
間違ってでも置いていかれまいと、ハイセさんの後ろにはりつくぐらいついて歩いた
怯えているわけではないけど、普段ならこんな私をからかうはずのハイセさんは、すっかり“SASAKI”を使い果たしてしまったのか、眠そうな目をこすりながらムツキ君にコクリアの説明をしている
呂律が全く回らないのか、ところどころ噛みまくっているので、私は正しい単語をいれて補足してあげた
ムッちゃんとムツキ君のことを呼び出した時には、すっかりムツキ君の緊張はとれたらしい
よかった・・・けど、私はなんとかこの静かな空間で笑いを響かせないように、下唇を噛み締めるので必死だった
ふと焦点のあっていない顔に傷がある監獄長がとある部屋で止まり、ハイセさんも止まったため、私はハイセさんに体当たりしてしまう
痛い・・・・鼻が
「気をつけてね」
「あい、・・・・すみません」
無気力な声が上から聞こえ、彼の背中にぶつけた鼻を押させえ潰れたような声で謝罪する
どうやら面会室に着いたらしく、重々しい扉が開かれ、奥へと通された
「おやおや―――」
ポルポラさんはまるで老人ホームに住まわされ、この生活に飽き飽きしたとばかりに肩を回してそこにいた
「誰かと思えば・・・ハイセと麗愛か。ちょうど退屈していたところだ」
彼は流暢な日本語で、最近の捜査官への不満を口にしながら歓迎してくれた
喰種は日本に限らず海外にもいるため特に珍しいというわけではないが、彼のその情報にそれだけの価値があった
「上官はどうした?真戸アキラは」
「彼女は別の捜査ですよ」
「女の尻に敷かれる気分はどうだ一等?」
「優秀な方のお尻なら心地よいものですよ。ポルポラさんもいかがですか?」
ハイセさんも久しぶりに会う孫のように、気さくに談笑から冗談を飛ばす
こういう会話をしているときは、彼が喰種だということを忘れてしまう
というか、ハイセさん?そんなこと言っちゃってもしりませんよ?
私は思わず口を挟む
「後で、アキラさんに報告しておきますね」
事務的な口調で告げると、ハイセさんの表情に焦りの色が見えた
「ちょっと、麗愛ちゃん!?」
最もらしく、持っていたボードにペンを走らせる
まぁ、書いたのは
へ へ
の の
も
へ
という落書きなのだけれども、ハイセさんには効果があったのか、それを奪い取ろうと躍起になっていた
何を描いたのかわかったムツキ君だけが、クスクスと可笑しそうに笑う
「くくっ・・・相変わらず仲がいいようだな」
『それだけは勘弁して・・・・!』と最終的にハイセさんが縋るのをみて、私よりも先にポルポラさんが笑い、話題を変えるかのようにチラリとムツキ君を見やる
「今日は新人も一緒か。若いな、それに・・・・・・・・」
大人しく座っていたポルポラさんが立ち上がり、ガラスの壁へと額を付ける
最低限の”食事”はコクリアでさせているらしいけど、その目はとても飢えてて、飢餓状態なのも加え、目前に餌を出され、食べられなくてじれったそうにしている