東京喰種 Colos Lie
□4話:オフィーリアの青紫
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女子の洗濯物は女子で分担されていて、私ももちろん自分で洗濯物を洗っている
ネットに入れるものと入れないもので分担して、サイコちゃんのも合わせてあるし、後は洗濯機に放り込むだけで完了!
あとは待つだけでいいんだから、その間に本でも読んでいようかな
本を片手に洗濯カゴをもう片方の腕にぶら下げながら、バスルームに設置されている洗濯機を使おうとしていたら、すでに先客がいたようだった
あれって、ウリエ君とシラズ君?
なんか、洗濯物の手前でなんかやっているけど・・・・・
コソコソしてて、怪しいなぁ
私はスパイ映画の主人公の如く、壁を背にして洗面所で何やら話し合っている2人の会話を盗み聞く
「んで、どれがサッサンのだ?これか?」
「違う・・・(それは俺のだ)」
ゴソゴソと何かを探しているみたいで、2人とも小声で何かを話している
洗濯物なんて取り出して何やってるんだろう
普通の洗濯なら後ろめたそうにコソコソする必要なんてないはず
「じゃあ、これか!?だっせぇ!エナジー・?・・・なんて読むんだ?」
何かを広げてしげしげと読んでみるシラズ君と、用が済んだから早く出たいのか、ウリエ君はイライラとした口調だ
「100万円の報酬との差が激しい気がするが、こんなんでいいのか?」
「いいんじゃね?」
『安けりゃ別にいい〜』とシラズ君は変な歌を歌いながら、そのお目当てのものを持ちだしているけど、シラズ君が指でくるくると回しているものを見て、私は目を疑った
それって――――・・・・・・・
「パンツ?」
「うぉおおおお!?!?!?!?!?!」
「上城二等・・・(シラズ、うるさい)」
私はどこか絶望したような顔をして、手にしていた洗濯カゴを手から滑り落とし、後ろへと後退る
「喰種捜査官が下着泥棒紛いなことをするなんて・・・・確かに、この2人は普段モラルの欠片もないけど、まさか・・・・しかも、男のパンツを」
「これには色々事情があって・・・(モラルがないって失礼だろう・・・)」
「お、お、おう!そうだぜ!これはじじょーちょーしゅってやつに使うっすよ!!」
ハイセさんのパンツを堂々と広げて言い放つ2人に説得力なんてない・・・
彼らは必死にそう言っているけど、ジリジリと追い詰められ、高身長のためか脅されているようにしか感じない
余談ですけど、ハイセさん・・・パンツがダサいです
「そのパンツを放しなさい!」
私は犯人との人質交渉のように言い放つが、2人は取り合ってくれない
ウリエ君に至ってはイヤホンつけだしたし・・・聞く耳持たないってか
「あぁ、もう!本当に知らないんだからね!」
「ハイハイわかってるっつーの!」
負け犬の遠吠えになっているみたいだけど、私が正論だと信じたい
シラズ君は私の手から落っこった洗濯物を拾い集めるが、それを彼が手伝ってくれた
こういうところ、気が利いてるのにな・・・なんでパンツ泥棒なんて
私は2人の後輩の育成に悩んでいれば、その原因であるシラズ君が溜息をつき始めた
「ちったぁ、色気のあるやつ着ろよなぁ」
「何が?」
ふと顔をあげれば、目の前でレースがあしらわれている白いブラジャーが泳がされている
「サイズは・・・イー、でぃー?なんて読むんだ?って着やせするタイプなのかぁ?」
「か、かかか、返せ!!」
白とは対照的に私の顔は燃えるように真っ赤になり、口を魚みたいにパクパクと開閉させる
シラズ君に飛びかかるが、ヒョイっとよけられてしまい、そのまま額を見事に床に叩きつけた
ブラジャーの件といい、頭をぶつけた件といい、恥ずかしすぎて顔をあげることができない
「大丈夫ですか?(ドジだろ・・・これが俺と同じ二等なのか?)」
ウリエ君は私の腕を掴んで、引き寄せるようにして起こしてくれるけど、『ドジだろ・・・これが俺と同じ二等なのか?そんなんだったら、俺は今すぐ二等を辞めたい』とか思ってそうだ・・・
シラズ君は私をからかうのに飽きたのか、洗濯物の山にブラジャーをポトリと落とす
くそぉ・・・生意気な後輩共め・・・
私は洗濯物をかき集めると、洗濯機の中へと乱雑に投入する
先ほどの白いブラジャーを取り出して、鼻を鳴らして睨む
別に色気なくないもん!レース可愛いし・・・
ネットの中に入れる直そうとして、ちょっと膨らみぐらいが足りないのに気づく
あれ?パットがない・・・どこいっちゃったんだろう?
一緒に洗濯物の中にいれてしまったのかな?あとで探せばいいか
それより、ハイセさんのパンツを何に使うんだろう・・・
頼むから、せめて袋かなんかに入れてあげて・・・