東京喰種 Colos Lie
□7話:真っ白な嘘
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ノックの後に開かれた扉から、ムツキ君が遠慮がちに私の視界に入りこんだ
ハイセさんはそちらへと目を止めると、『どうぞ』とムツキ君を部屋へと通した
もちろん、もう落ち着いたから、ハイセさんには身体を離してもらっているから、やましい場面ではないけれども、ムツキ君の登場にちょっと動揺した
誤魔化すようにして、怪我の具合を尋ねた
ウリエ君たちよりは回復が遅いからか、足の傷に包帯を巻いているのがわかった
「ムツキくん・・・・怪我、平気?」
「俺は平気です。麗愛さんこそ平気ですか?」
ムツキ君はまさか自分の心配をされるとは思わっていなかったのか、目を見開いて苦笑する
確かに、私は過呼吸を起こしたり、気絶をしてしまったりと、君たちよりも色々と重賞だったけれどさ・・・
口を尖らせる私に、ムツキ君はしゅんと叱られた子犬のように眉を下げた
「俺が、瓜江くんたちを引っ張ってでも連れ出しておけば、麗愛さんもこんなことにはならなかったんですよね」
「え!?ち、違うよ!ムツキ君のせいじゃないし!!」
ションボリとしてしまうムツキ君に私は首を振って否定した
確かに逃げてくれることに越したことはないかもしれないけれど・・・
ムツキ君がウリエ君の首根っこ掴んで引っ張り出すなんて力技出来っこないし・・・いや見てみたいけれど
想像して吹き出しそうになったけれど、ハイセさんが割って入る
「・・・・・・ミーティング始めるからリビングへ行こうか」
考え深気にハイセさんは右手を頬にあてている
無理やり私とムツキ君との会話が区切り、ハイセさんは何事もなかったように立ち上がるとリビングへと向かった
ハイセさんも疲れているはずなのにテキパキと、部屋からいち早く出て行ってしまう
そんな長い時間待たせてしまっていたのかとは思わなかったけど、もう時計は深夜の時間を指していた
私待ちでミーティングが長引いてしまっているのだとしたら申し訳ない
急いで起き上がろうとしたら、ふらりと目眩がして、背中が布団へと戻ってしまう
ムツキ君が私の肩と背中に手を回して甲斐甲斐しく起き上がらせてくれた
介護をしてもらっているおばあちゃんのような気分だ
うん、こうやって後輩から労られるのも悪くないなどとくだらないことを考えながら、ムツキ君の手を握る
本当はもう傷口は治っているのだけれども、なぜかふらつく
ムツキ君が手を借りながら、ベッドから立ち上がる
「あの、・・・・ありがとうございました」
「何が?」
ムツキ君の急なお礼の言葉に私は首を傾げた
むしろ手を貸してくれたムツキ君に、私がお礼を言いたいのだけれども・・・
だが、そういうことではなかったらしい
「先生と麗愛さんのこと・・・アキラさんから聞きました。俺がトルソーに襲われた時とか必死になって追ってきてくれて・・・、身を顧みず撤退をさせるために・・・・オロチと戦ってくれて」
私は目を見開いた
私とハイセさんが“半喰種”であるということを知ったっていうことなのだろうけど、そこに驚いたのではない
てっきりそれを知って怖がられてしまうのかと思っていたから、尚更ムツキ君のお礼の言葉に驚いた
「あ・・・いや、ううん・・・だって私、君たちの先輩だもん」
声が裏返ってしまい、下唇を噛み締めた
私は気恥ずかしさを感じてムツキ君に、もう大丈夫だということを伝えるために、自分の足で立ち、ハイセさんの部屋からでた