フェイク

□あえかなる亡国
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「数学のドリル、出された範囲長かったよな」
「うーん、俺は授業中やったから」
「えー、なんだよ、それ。」

真宮が不満そうな声を出す。

「俺の数学のクラス、最後の一時間に課題やらせてくれてさ、その日に家で終わらせた。」
「俺なんか昨日の夜目を通してみたけど最初のほうでもう分からない所あったんだよね、」
「頑張れ」
「見捨てるなって、夏休みにまた教えてくれよ」

本当は続く言葉を知っていたけど、予想通りの言葉を聞いて僅かに口角があがる。
俺から連絡なんて滅多にしないから、こうして真宮から誘ってくれなければ一ヶ月も真宮に会わずに過ごさなければいけない。
突き放す言葉に、もしもがチラつく時はドキドキする。
そのくせ冗談でも突き放すような言葉しか言えないのは、自覚から来る臆病からだ。

「俺ん家に来ても麦茶しかないぞ」

ホラ、また。

「やったね。総の家涼しいから良いよな」

そう破顔する真宮に、暑いからな。と嘘をついた。
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