おそ松さん

□夜星(やせい)を見つめて
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「…ん…?…」
 
深夜1時過ぎ、皆寝静まった中カラ松はうっすらと目を開け、上半身だけ起こして一人でに起きる。

「まだこんな時間じゃないか…もう一度眠りに…お?」

ふと隣を見ると一松の姿は無く、カラ松はキョロキョロと他の皆の姿を見る。

「皆はいるな…トイレにでも行ったか…」

そう思い布団に潜りこんで眠りにつこうとするが中々眠気は来ず、おまけに数分経っても一松が戻って来る気配が無い。

「どこかに行ったのか…、はっ、もしや…」

少し不安になったがカラ松は心当たりの場所を思いだし、皆が起きないよう屋根の上に通じる場所へと向かい、そこへ行ってみると、体育座りで座ってる一松と野良猫が隣で一緒に静かに空を見上げていた。

「一松…こんな所にいたのか…」

「…兄さん、何でここに?」

「にゃーおっ」

カラ松の声に反応した一松は下を見下ろす、その顔はどこか寂しい表情をしている。

「たまたま目が覚めてな、そしたらお前が居なかったからもしかしたらここにいると思って来たんだ、隣座って良いか?」

「…好きにすれば」

一松のつれない言葉を言うがカラ松は嬉しそうに微笑みながら一松の隣に座る。

「ありがとう、一松も目を覚ましたのか?」

「…まぁね、すぐに寝れないからコイツと一緒に空見てたんだ」

野良猫の頭を撫でながら淡々と語るとカラ松はなるほどと頷いて聞く。

「ははっ、一松も猫みたいになってきているな」

「…それ、誉めてるの?」

「ああ、可愛いと言う意味でな」

「っ!/////…痛いよ、馬鹿…///」

一松は照れてそっぽ向いて顔を赤くする。

「そう恥ずかしがるな、…それにしても、今日は一段と星が綺麗だな」

カラ松が空を見上げると夜空の星が散らばっていて宝石の輝きのように見える。

「こんな星を見るのは久しぶりだな、子供の時以来かもしれん、一松はいつもここで夜空を見てるのか?」

「そう…だね、寝れない時は大体ここにいるよ、仲間もいればね」

野良猫を見ながらカラ松に話を進める。

「ほぉ…、昼間は良く十四松といるみたいだが、本当に仲良いんだな」

「別に…アイツから寄ってるだけだから…」

「じゃあ、アイツの事は嫌いか?」 

「…そうでもないよ、ただ俺とは正反対だからちょっと取っつきにくい時もあるけど、嫌いじゃないよ…」

一松は組んでる腕の間に口元だけ覆いながら呟く、それを聞いて安心したカラ松は良かったとポツンと言って一松の頭を撫でる。

(普段はあまり触れて欲しくないけど…、静かに二人きりでいる時はちょっと嬉しいかも…)

撫でられてるのが嬉しいのか一松は目を閉じてスッとカラ松の隣に密着する。

「ん?…ふっ、まるで猫だな、可愛いぞ、一松…」

一松を撫でた後カラ松は一松の肩を抱いてしばらく夜空を眺める、いつの間にか野良猫は居なくなっていて、少しすると一松は眠気が来たのかウトウトとし始める。 

「眠くなってきたか?」

「ちょっとね…後寒くなってきちゃった…」

初夏とは言えまだ深夜は冷え込む時期、一松は軽く身震いをするとカラ松は彼の手を握る。

「こんなに冷たくなってるじゃないか、早く入ろう」

「(だから我慢してここにいたのに…、相変わらず鈍感だな…)…眠い、おぶって欲しい…」

ムードを分かってない一松は拗ねてカラ松にわがままを言い、カラ松は困った顔をする。

「え?ま、参ったなぁ……、分かった、危ないからしっかり捕まってるんだぞ?」

決心したカラ松は一松の体を背負うとややよろけながら屋根から降りて行ってこっそり部屋に戻って布団の所まで運んで行く。 

「さっ、着いたぞ、一松…」

「………すぅ、すぅ…」

いつの間にか寝てしまった一松を見たカラ松は苦笑いをしつつ一松を起こさないように布団で寝かせる。

「おやすみ、俺のクールなキティちゃん…」

痛いセリフを言いながら一松の額にキスすると自分も寝床につき、眠りにつく。

(…痛いけど、キスは嫌じゃないから良いか…)

内心では起きている一松がチラッとカラ松を見て密かに笑みを浮かべ、目を閉じて自分も眠りにつくのだった。









終わり。     

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