浮わつき

□誰にでもスキだらけ
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「ねえ藤巻くん。なんでそんなに怖い顔してるの?」

大山にそう言われて、自分がかなり強張った顔をしていることに気付いた。

あわてて表情を緩め、大山になんでもないと告げる。
そう?と訝しげな顔をしていた大山だったが、すぐに自分の食事に戻って行った。

そう。

今は食堂にいて、食事中。

藤巻は大山と音無と日向と野田と5人で食事していた。
本当は藤巻と音無だけだったが、一級フラグ建築士である音無をほっとく奴はそうそういなかった。
すぐに、日向、大山、野田、と人数が増えてしまい。

一緒に食事するはずだった予定はいとも簡単に崩れた。

音無の両脇には日向と野田がいる。

藤巻は音無の目の前。の横。

目の前にいるのは大山。

実質的に藤巻は音無から1番遠い。


それだけでも不愉快なのに。

もっと不愉快なのは日向と野田の行動だ。


日向はやたらめったら音無にくっつきたがり、野田は野田で微妙な接触をしていやがる。

音無はそんなことをされてもただじゃれているだけだと思っているらしい。
警戒感のかけらもない。

藤巻にも勿論無防備だ。

しかし。

その無防備を他人にさらされるのは気に入らなかった。

恋人の目の前なのに他の奴とイチャついて(?)いて腹が立たない野郎がいるだろうか。

そんなわけで、藤巻はとても不機嫌だった。



それは、寝るときになっても続いた。


「なあ…藤巻…なんで怒ってるんだ…?」

「怒ってねぇ」

「嘘だな。怒ってる」

「怒ってない」

「怒ってる」

「怒ってほしいのか」

「やだ。怒られるのいやだ」

「あんましつこいと怒るぞ?」

「…だって、藤巻。かまってくれない」


音無はむぅ…と寂しそうな表情をしながら布団を抱きしめた。

か、かわっ…!!

「おとなし…」

「ん?」

「…いいよな?」

「…なにが」

「誘ったお前が悪い。」

「なななな、なに?!」



ああ、だから。


『誰にでもスキだらけ』


そんなところも、嫌いじゃないけどな。








噛みつき注意!】さんへの提出物です!

なんだかお題を生かし切れていない…。





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