eleven

□豪風
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ある日の雷門サッカー部の部室で起きた出来事…

全てはここからが始まりだった

風丸は、朝早くになんとなくの気分で部室へと足を運んだ。

「夕香…」

戸を開けようとした時に聞こえた声…

それは、雷門のエースストライカー豪炎寺修也の声であった。

「ご…豪炎寺…?」

風丸は唖然としていた。

「!?…風丸か…?」

曖昧に返事をする。

風丸の中で1つの単語だけが頭の中をぐるぐると回る。

『夕香』という女の子の名前だけが…

「さ…さっきのは…?」

勇気を振り絞って聞いた…。

「気にするな…。俺の独り言だ…」

「……じゃんかよ…」

「風丸…?」

「逆に気になるじゃんかよ…。はぐらかされたら…!」

「…すまない」

ここまで、感情露わにする事がなかった風丸は自らを哀れんでいた。

「夕香って…」

「…俺の妹だ」

「妹…居たんだな。以外だな…」

「そうか?」

「隣いいか?」

「あぁ」

特に会話を交わすことなく、静かな風だけが2人の間を通り抜ける。

チャイムの音が聞こえてきた。

「そろそろヤバいから行かないか?…俺は行くぞ?」

何故そんな事をしたのか風丸自身も分からなかった。

「わ…悪い…」

つかんでいた豪炎寺の腕を風丸は離した。

「…いや、別にいいんだ」

「すまない…。もう少しだけで良いんだ…。一緒に居させてくれ…」

涙を堪え、豪炎寺に縋る風丸は女性に劣らぬ綺麗な表情をしていた。

「…風丸」

そっと風丸を抱きしめて…

自らの腕の中の温もりを感じて…


+end+


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