いち

□夏祭り
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祭りの提灯が街道を照らし出し、そこは人々のざわめきでいつもの数倍賑やかだった。

地区の祭りといっても規模がとても大きく、人の数もハンパない。
そんな所に非常に目を引く3人の姿があった。




1人は袴姿の哲学する柔術家、岬越寺秋雨。

2人目は革ジャンをはおったケンカ百段、逆鬼志緒。
3人目は2人に腕を引っ張られて苦笑している名前。












「名前くん、こっちで金魚掬いでもやらないかね?」



「おい秋雨!!俺らは射的に行くんだよっ!!」



「あ、ははは」




名前はもう1時間もこの状態だった。


もはや苦笑しか漏れていない。





「わ、わたしはかき氷が食べたいなぁ…なんて…」



小さい声だったが秋雨と逆鬼の耳がぴくりと動いた。




「よし!!俺が買ってきてやらぁ!!秋雨より先になっ!!」




「あーはいはい。行ってきたまえ。私は名前君と待っているから。」



シッシッと犬を追い払うように手を動かす。






「なっ!!秋雨卑怯だぞっ!!」



「それとも何だ、名前君を1人でこの危ない狼に溢れた場所においていくのかい?」



「そ、それは…」




2人のやりとりに見かねた名前が声を出した。





「志緒、かき氷よろしく。…勝手に何処か行くとかないから、ね?ちゃんと此処で待ってるから」





「お…おう」



頬を赤らめてかき氷を求め走り去っていく逆鬼とその後ろ姿に舌打ちする秋雨。

秋雨はきっと逆鬼を置いて、名前と2人で回る気だったのだろう。










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