おやすみ。

□第1話
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「失礼します。」

日も高くなったころ。政宗の部屋に、愛子がきた。

「Hey、honey。どうした?」

「きっと貴方のことですから、お暇でいらっしゃると思いまして。」

「HA!イヤミか?」

「いいえ。お菓子をお持ちしたんです。」

「菓子?」

「ええ、先ほど作ったんです。甘さは控えてますよ。」

「お前・・・そんなことしてて大丈夫なのか?」

「え?ああ、先ほど薬も飲みましたし、大丈夫ですよ?」

「あんま無理すんなって。」

「ご心配有難うございます。さ、いただきましょう。」

「ん。」

二人でお茶をするささやかな時間。

「good!おまえは料理上手だな!」

「政宗様ほどではございませんよ。」

「そうか?じゃ、今度は俺がとっておきのを作ってやる。」

「ふふ、楽しみにしてます。」

こんなたわいのない話も、愛子と政宗にとっては大切な時間。
いつ、死んでもおかしくない政宗と、病弱な妻。
ささやかな時間でさえ、無駄にできない。

「御馳走様でした。では、政宗様。」

「Waht?」

「執務をどうぞ(黒笑」

「no!!!!」

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――――――
――――
「今日も、良い一日でした。」

「ああ、そうだな。しばらくは戦もねェし。」

「では、おやすみなさい。」

「goodnight。愛子。」

「・・・・・。」


しばらくして聞こえる政宗の寝息。
それを聞いて、そっと部屋をでる愛子。

「ごほっ・・・ゴホゴホッ!」

政宗には聞かれたくないひどい咳。

「・・・はっ・・。もう、私も長くないのでしょうか・・・・?」

きれいな月を見上げ、ひとり呟いた。

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