おやすみ。

□第4話
2ページ/3ページ


「ねぇねぇ、喜多。」

「はい?どうかされました?」

「着物をね?縫いたいの。」

「お着物を?どんな柄に致します?愛子様なら何でもお似合いになりますよ。」

「ううん。私のじゃあなくって、政宗様の。」

「政宗様の!そうですか、」

「どんな柄がいいかしら。落ち着いた青もいいけれど、深緑も素敵だと思わない?」

「・・・はぁ、愛子様。」

「なあに、喜多。」

「顔色が悪いです。」

「う・・・・・。」

「今はゆっくりお休みになって、そうしたら一緒に生地を選びに行きましょう。」

「・・・・そうね!政宗様にまた心配かけてしまったらいけないもの。」

「ほんと、いいお顔。」

「喜多?」

「愛子様ったら、今日がここのところで一番いい顔してますよ。」

「え、・・・そうかしら。」

喜多に言われて、手鏡を見る。
疲れ切った私の顔は、少し頬が緩んでいる。

「まだ顔色は良くないですけどね、愛子様は笑っていたほうがいいわ。」

「そうね・・・。」

ずっと気を張っていた最近。
疲れてたんだなぁ・・・。

「今頃政宗様は、執務室にこもってるんでしょうか?」

「ふふ、あの方に限ってそんなこと。そろそろ小十郎に追いかけられている頃ですよ。」

そう喜多がいった瞬間、部屋の襖が勢いよく開いた。

「愛子!!!!かくまってくれ!!」

「政宗様!?執務は!?」

「ah〜・・・・抜けてきた(汗」

「もう!!」

「ほらね、言ったとおりでしょう愛子様。」

「・・・そうね。」

政宗様に続けて、小十郎様まで入ってくる。

「政宗様!!執務をこなして下され!!」

「こ、小十郎!!」

「政宗様、もう無理です。」

「小十郎!大声で入り込んで何事ですか!ここは姫様のお部屋ですよ!」

「姉上・・・・はぁ、政宗様、執務を。」

「No!!!!!」

「政宗様、執務が終わったらおいしい夕餉をご用意しておきますよ。」

「本当か愛子。」

「ええ。まぁ、政宗様の執務次第ですが。」

「・・・・っち、待ってろよ愛子。今すぐ終わらせる。
いくぞ小十郎!」

「はっ。」

さあ、私も弱気にならずに頑張らなくちゃ!!


next→
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ