おやすみ。

□第4話
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あの日から発作が多くなった愛子。
ただ、笑顔を作って、隠している。
んなの、俺には見えてんだよ。

「Hey!愛子。」

「政宗様!!」

こっちを見て笑顔を見せる愛子。
顔色は、いつもどうりよくない。

「今、お茶をお持ちしようと思って!お菓子もあるんですよ。」

「ああ、thanks。」

2人分のお茶を持って、執務室に行く。

「政宗様、執務は?今日も溜まってらっしゃるんじゃないですか?」

「ah〜?何の事だか。」

「もう!また小十郎様に任せっきりで!」

「まぁいいじゃねえか。休憩だ休憩。」

雨戸をあけっぱらい、部屋に日の光を入れる。
縁側に座って、秋空を眺めた。

「寒くないか?」

「はい、大丈夫ですよ!」

「そうか・・・・なあ、」

「はい?」

「いや・・・・なんでも。」

「そうですか・・・・、本当はもう長くないのよ・・・。」

「!?どういう意味だ?」

「・・・そういう意味。」

『もう長くない。』
時間が?
命が?
何言ってんだよ。

「HA!弱気じゃねぇかhoney?」

「弱気にも・・・・なりませんよ。言ったでしょ?負けられないって。」

「そうだな、俺も負けらんねぇ。」

「幸村殿ですか?」

「ああ、あいつはいいもん持ってるぜ?」

「ふふ、本当にお気に入りなのですね。」

「あ?あぁまあな。」

「さ、そろそろ執務にお戻りくださいませ!小十郎様が探しておいでですよ。」

遠くから聞こえる小十郎の声。
いや、意外と近い気がする。

「お前も寝ろよ。顔色が悪い。」

「・・・政宗様がそう仰るなら・・・。」

「喜多の言うこと聞けよ?」

「こ、子供じゃないんですから!!」

表情を変えた愛子に、俺は少なからずほっとした。

「政宗様?」

「おやすみ、愛子。いい夢見ろよ?」

髪にkissを落とすと、愛子は笑った。
辛さを隠すためではない、本当の笑顔。

「はい!おやすみなさい!」

俺は廊下で愛子の後ろ姿を見送った。
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